この記事をまとめると
■2024年度のベトナムでの新車販売台数でトヨタは3位となった
■三菱がエクスパンダーとエクスフォースのヒットで過去最高販売を記録
■マツダは現地パートナーTHACOのパワーもあり都市部での存在感が大きい
日本国内とはちょっと違う「ベトナムの日本車事情」
日本国内の新車販売では圧倒的な販売シェアでトップとなっているトヨタ。2024暦年締め(2024年1月~12月)年間新車販売台数では、ダイハツと日野を含んだグループ全体で1082万1480台を販売し、世界販売台数でも第1位となっている。
東南アジアは、「日本車の楽園」と呼ばれるほど日本車がよく売れる地域でタイやインドネシアなど主要国では軒並みトヨタが販売台数トップとなっている。一方、ベトナムにおける2024暦年締め年間新車販売台数では、自国ブランドのビンファストに販売トップを譲り、2位が韓国ヒョンデ、3位がトヨタとなっている。
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ただし、ビンファストとヒョンデはVAMA(ベトナム自動車工業会)非加盟であり、この2ブランドがそれぞれが発表した数値に、VAMA統計によるVAMA加盟ブランドの販売台数を合算したものとなっている(しかもビンファストは販売ではなく納車台数となる)。
日系トップのトヨタの販売台数は6万6576台であるが、意外なほど三菱とマツダが健闘しており、街なかでも頻繁に見かけることができた。2024暦年締めでのトヨタの年間新車販売台数を100とすると、三菱自動車が約64%、マツダが約48%、ホンダが約42%となっている。
2024暦年締め車名別年間新車販売ランキングをみると、三菱自動車ではエクスパンダー(3位)とエクスフォース(6位)が入り、マツダではCX-5が5位に入っている。東南アジアではピックアップトラックのトライトンやトライトンベースのSUV、パジェロスポーツの人気が高く、最近では小型MPVのエクスパンダーや、小型クロスオーバーSUVのエクスフォースが大ヒット。この2車種の人気の高まりもあり、2024年では三菱が史上最高の販売台数を記録している。
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三菱車の人気は街なかを見ても明らかで、ミラージュをベースとする小型セダンのアトラージュや、アウトランダー(先代型)も含めて、ベトナム国内でラインアップする車種全体をよく見かけることができた。
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マツダでも、マツダ3などのSUV以外のモデルもかなりの数を観測した。マツダ車の現地生産や販売のパートナーは「チュオンハイ自動車(略称はTHACO/タコ)」となる。ここはマツダのほか韓国の起亜やフランスのプジョーなどの現地パートナーでもあるためか、首都ハノイ市内の新車ディーラーは、マツダ、起亜、プジョーを一手に扱うお洒落な大型店舗ばかりであった。
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マツダ車はマレーシアでも人気だし、アジアのみならず世界の新興国で感度のいい消費者を中心に愛好される傾向があるが、ベトナムにおいてとくに著しい売れゆきを見せているのは、やはり優秀な現地パートナーの存在が大きいだろう。
ホンダはシティ、BR-V(新興国向けクロスオーバーSUV風ミニバン)、HR-V(日本でのヴェゼル)、シビック、CR-V、アコードなどをラインアップしているが、CR-V以外はそれほど多く見かけなかった。
東南アジアでは日本車のなかでもトヨタがずば抜けた販売台数を誇るなか、三菱がエクスパンダーとエクスフォースという新たなヒットモデルを輩出することで勢いを見せ、マツダも一定以上の所得のある層に食い込んでおり、その傾向はベトナムでも見ることができたのである。