【試乗】普通のステアリングをまわす操作が無駄に感じる! ステア・バイ・ワイヤを採用してきた「レクサスRZ550e “F SPORT”」の切れ味を一度体験したら戻れない (2/2ページ)

RZで物足りなさを感じた部分はほぼ解消

 パワートレインの進化も、すぐに体感できる。RZ450eも電気モーターの特性でとくに低中速域では額面以上に力強く感じられたものだが、RZ550e“F SPORT”は全域で余裕が増し、とくに中間加速の伸びがいい。おかげで、常にアクセル開度が小さく済んでいる感覚。今回、遮音材の追加や高減衰接着剤の採用などが行なわれているのと相まって、これまでも際立っていた静粛性が、一段と向上していると実感できるのである。

 一方、走りを楽しみたいときのために、こんな装備も採用された。「インタラクティブ マニュアル ドライブ」は、仮想8段ギヤによる変速とサウンドの変化が楽しめるもので、これも仮想のレブリミットに差しかかるとパワーが伸びなくなってパドルを弾いてのシフトアップが促されるなど、MTの走りがうまく再現されている。ギミックではあるが、楽しめることは間違いない。

 さらに「SPORT」モードに入れれば、駆動力配分がよりリヤ寄りになって、ハンドリングがよりニュートラルに。これらの組み合わせによって描き出された走りは、BEVの旨味が最大限に活かされたもので、ワインディングロードを思い切り楽しむことができた。

 現行のRZ450eの後継となるRZ500e、そしてシングルモーター前輪駆動のRZ350eも、基本的な部分の進化はほぼ同様である。出力アップ、静粛性向上、そして航続距離の伸長によって、これまでのRZで物足りなさを感じた部分がほぼ解消されたといっていい。

 急速充電の150kWまでの速度向上、プレコンディショニング機能の搭載も、長距離走行派にはグッドニュース。楽しんで結構遠慮なしにアクセルを踏んでも、残り航続距離の数字の減りは小さかったから、回生含む効率性全般も向上しているのだろう。

 まさに中身は“全取っ替え”と言える大幅なアップデートで、BEVならではの走りの世界に磨きをかけて登場した新しいレクサスRZ。日本導入時期は未定だが、ヨーロッパでは年内発売開始というから、おそらくそう変わらないタイミングで投入されるに違いない。


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