オービスだのNシステムだの多すぎじゃない? なぜ両方の機能を統合した装置を設置しないのか (2/2ページ)

技術的には不可能ではないが……

 両方とも警察が管轄しており、かつカメラで通過する車両を撮影、記録する装置なのだから、統合すれば設置数を減らせるなどして予算的にも節約できるように思える。たしかに、オービスは車速を計測するための仕組みがあり、Nシステムにはそれがないという違いはあるが、撮影、記録という機能は変わらないので、両装置の統合に技術的な困難があるとは思えない。

 しかし、実際にはそう簡単な話ではない。こういった装置の導入は税金が原資であるために、導入目的、期待する効果などが明確に定まっている。Nシステムは、自動車を利用した凶悪犯罪や自動車盗難などの捜査に利用することが導入の目的になっているのだ。これに対してオービスは、速度超過の取り締まりが目的である。すなわち、それぞれ目的のために設置計画が作られて予算が執行されるので、それ以外の目的で利用することは難しいのである。

 オービスの所在を知らせる機能を持つ「レーダー探知機」には、Nシステムについても対応しているものが多く、いずれNシステムでも速度取り締まりが行なわれる可能性を説明書などに記載している例も見られるが、そもそも設置目的が違う以上、その可能性は極めて低い。実際に、装置を運用している警察組織内の部署も異なる。安易に、統合するということにはならないようだ。

 ただ、現在はトクリュウこと「匿名・流動型犯罪グループ」が関与する事件の多発など、犯罪が凶悪化、複雑化する傾向にある。そのために、監視、防犯カメラとともにNシステムの重要性が増してきているのだ。こういった背景の下、オービスがNシステムのネットワークに組み入れられる可能性は皆無ではないといえよう。

 Nシステムの映像が犯罪の証拠として扱われるのであれば、そういった運用は慎重に行なう必要がある。しかし、これまで証拠として裁判所に提出された事例は、極めて少ないといわれている。要するに、Nシステムのデータは捜査資料という扱いなのである。それならば、相互のデータを併せて解析するなどといったこともハードルは低い。近い将来には、オービスのデータが犯罪捜査に使用されるようになるかもしれない。


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