高年式の新車も高騰が続いている
かつては、「新車は買えないので中古車で……」とよくいわれたが、海外バイヤーの目に留まらない一般的な車種であっても、高年式車ほど高値傾向が顕著となっているように見える。
数年前、半導体不足などの影響で新車の生産が思うようにできず、世界的に新車の納期遅延が問題となった。あのころに比べれば、一部の人気車種を除けば納期については改善傾向が見受けられるのだが、それでも生産計画の都合などにより新規受注停止や納期が乱れることがある。
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そんなタイミングで新車ディーラーへ行くと、「お急ぎなら中古車で探してみては……」とセールスマンに案内されるのだが、そもそも生産計画が乱れているのだから、同型車の中古車流通台数も当然少ない。それでも同じように優良物件を探すひとは多いので、当然需要と供給の関係から中古車価格は上昇していくことになる。なかには新車で購入するよりも支払総額が高くなる車種もあるとも聞く。
新車ディーラーでは、短いスパンで使用した試乗車を自社中古車センターで販売することがあり、この「試乗車あがり」を狙うひとも増えている。よほどほしがるひとが多いと、新車時価格より中古車価格が上昇することもあるが、手間のかかる値引き交渉を経なくても新車よりは若干お得程度の価格となるのが、一般的には魅力なようである。
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ただ、ここのところは部材費や流通経費、人件費高騰を車両価格に反映させることも狙った一部改良が、多くのメーカーで頻繁に行われるようになった。見た目はほとんど変わらずに若干の装備内容が変更されることが多く、そのため従来は改良ごとに試乗車も入れ替えを行っていたのだが、ここのところは見た目が大きく異なるまでは試乗車の入れ替えを行わないケースも目立っているようだ。
「いまはここが変わっていますよ」とセールスマンが説明しているようである。以前より長く試乗車として使い、ディーラーによっては店長(営業所長)などが幹部使用車両として兼用していることもあり、走行距離があっという間に数万kmとなることもあるようす。以前ほど「試乗車あがり」の魅力(低走行距離など)は薄くなることもあるようだが、それでも中古車価格が目立って下がることもないようである。
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メーカーを問わず、どのメーカー系正規ディーラーでも中古車販売に力を入れているのが現状。そのような動きも中古車相場を吊り上げているのかもしれない。
いいタマ(中古車)は展示場に並ぶ前に売れてしまう、これは古くから中古車販売の世界でいわれてきた話。中古車専業店は在庫をもっていればそれだけ負担が増えるので、できるだけ短いスパンで仕入れてから売り切ろうとするのである。そのため「これはいける」と思った物件は仕入れた直後は展示場に並べず、ほしいとして声をかけてもらっているお客などへ売りさばいてしまうのである。
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中古車を買うにあたって業者に希望を告げて、その希望に叶うクルマが入り連絡がきたら買うか買わないかを即断するといった買い方をするひとも多いようだ。
いまどきは未使用に近い程度のよい高年式車か、乗り潰しを前提とした低年式車かに中古車の売れ筋は二分されているともいわれている。とくに高年式中古車に関しては価格面の魅力というよりは、納車を待たされる新車に対して「すぐ乗ることができる」というのが最大の魅力となっているようである。