この記事をまとめると
■日産サクラやリーフやホンダN-VAN e:のバッテリーを製造する会社が「AESC」だ
■創業以来バッテリー発火などの重大事故を起こしていない絶対的な信頼度を誇る
■茨城県にある最新ギガファクトリーでEV60万台分のバッテリーを製造する
リーフやN-VAN e:にバッテリーを供給する「AESC」
2009年デビューの三菱アイミーブや同じく2010年に生まれた日産リーフなど、世界に先駆けて量産EVをローンチした日本の自動車産業だが、いまや中国や欧州の追い上げにあい、残念ながら「EV後進国」と評されることもある。たしかに新車販売におけるEV比率が世界的に見ても低空飛行状態なのは事実だが、だからといって技術的に劣っていると捉えるのは間違いだ。なぜなら、EVの核となる車載・二次バッテリーについては長い歴史をもち、その高い安全性で知られているからだ。
そうした評判を生んでいるのが、日本を代表する車載バッテリーメーカー「AESC」だ。同社の創業は2007年、もともとは初代リーフ用のバッテリーを開発・製造するために生まれた会社で、創業当初は日産とNECが出資する合弁企業であった(当時の車名はオートモーティブエナジーサプライコーポレーション)。
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その後も、2代目リーフ、サクラ/eKクロスEVなどが搭載するバッテリーを供給。ホンダの軽EVであるN-VAN e:や、フルモデルチェンジを控えた3代目リーフにもAESCはバッテリーサプライヤーとして貢献している。
EVのメカニズムに興味がある方ならば、上記のモデル名から想像できるだろう。AESCがEV用として製造しているのは、レトルトカレーのような見た目の「パウチ型リチウムイオンバッテリー」である。EV用バッテリーとしては角型や円筒型も存在しているが、リーフやサクラといった日本で販売台数の多いEVに搭載されていることから「国産EVといえばパウチ型バッテリー」というイメージをもっているユーザーも多いことだろう。
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ちなみに、サクラやeKクロスEV、2代目リーフに使われているのは同社における第4世代バッテリーで、N-VAN e:や新型リーフには第5世代バッテリーが採用されている。パウチ型という形状は変わらなくとも、エネルギー密度や出力などバッテリーの性能は確実にアップしているのだ。
ところで、EVといえば、海外から発火などの事故が伝わることもあり、リチウムイオンバッテリーの安全性を気にする声もある。一方、日本国内ではそうした発火事故の報道を見ることは少ない。
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じつはAESCのバッテリーを積んだEVは、これまでバッテリー由来の重大事故による発火は起きていないのだという。先日、急速充電中のリーフが発火したというニュースもあったが、その原因は「車内に灯油をこぼした状態で喫煙をした」と報じられている。つまり、EVでなくとも起きうる火災であり、バッテリー由来の発火ではなかった。
前述したように、AESCのバッテリーは国産EVでは最大シェアであり、グローバルでは100万台を超えるEVに搭載されている。そんなAESCのバッテリー自身が発火したという事例は、過去にないという。AESC安全神話はまだまだ継続中であり、信頼できるブランドなのだ。