ウラカンシリーズのなかではもっともダイナミックな「STO」
パワーユニットのフィーリングに気難しさは感じられない。最高出力で640馬力、最大トルクでは565Nmというスペックを誇るそれは、大排気量の自然吸気エンジンならではのトルクフルでナチュラルなインプレッションを感じさせてくれるもの。
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もちろんそれが潜在的にもつパフォーマンスをフルに炸裂させることは、日本の公道では不可能に近い話だが、高速域でのまさに全身を突き抜けるかの如きパワーフィールと、エキゾーストシステムが奏でる官能的なサウンドは、さすがはランボルギーニの作といった印象である。
ちなみに最大トルクの565Nmは、同じウラカンの「EVO」よりも35Nmほど控えめな数字だが、これは駆動方式がEVOの4WDに対して、STOでは後輪駆動とされていることに直接の理由がある。
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正確無比なアクセルレスポンスもまたドライブ中には何回も感じたSTOの美点だ。サーキットではおそらくは一連のウラカンシリーズのなかではもっともダイナミックな、そしてまたコントローラブルな走りが楽しめることは確かだろう。
コファンゴと呼ばれる、一体成型のフロントカウル、そしてリヤのウイングがディフューザーに象徴されるように、エアロダイナミクスの素晴らしさもまた印象的だ。日本の公道においては、その効果をフルに体験することはもちろん不可能だが、スタートからわずかに3秒フラットで到達する100km/hという速度に至るまでの間にも、その片鱗というものは確実に感じられるし、さらに高速コーナリング中には、ダウンフォースとサスペンションセッティング、そしてブリヂストン製の専用タイヤが演出する卓越した安定性を十分に味わうことができるのだ。
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コーナリング時には、ウラカンの基本構造体となっているアルミニウム製スペースフレームの剛性感、そして徹底した軽量化による効果もダイレクトに伝わってくる。ハンドリングはまさに正確無比のひと言で、V型10気筒エンジンに組み合わされる7速DCTの動きもスムースでクイックだから、ドライバーは絶対的な安心感をもってステアリングとブレーキの操作に集中することができるのだ。
参考までに、この「STO」に設定されていた新車価格は3750万円(税抜き)。それはもちろん果てしなく高価だというのが一般的な意見になるのだろうが、これだけの刺激的な走りを体験させてくれるスーパースポーツはそう多くない。最近ラグジュアリーな方向にキャラクターを振り過ぎたスーパースポーツが多いと嘆くスーパーリッチには、この価格は十分に納得のいくものだったのではないだろうか。
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ニューモデルのテメラリオが誕生しても、ウラカンという大排気量自然吸気エンジンを搭載するモデルの魅力は変わらない。今回、STOを改めてドライブしたことで、それは個人的には確信へと変わった。
ウラカンの存在、そしてそれが体感させてくれるパフォーマンスは、これからもランボルギーニのファンの間では、これまでと変わることなく語り継がれていくことになるだろう。
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