改良を重ねながら412まで進化
その進化型である400GT、400オートマチックが登場するのは1976年のこと。V型12気筒エンジンは4823ccに拡大され、さらに後者にはアメリカのGMから供給された3速ATが組み合わされたことで、より幅広いユーザーからの支持が集まるようになった。
1979年に発表された400iはそのインジェクション版ともいえるもので、実用域での扱いやすさをさらに高めた一方で、当時厳しさを増していた排出ガス規制の影響によって、最高出力は310馬力に抑えられていた。
ちなみにフェラーリがそのハンデを解消し、ふたたび340馬力という数字をスペックシートに掲げることに成功したのは1985年、この世代の2+2GTにおける最終進化型にあたる412でのことになる。
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ここで改めて考えてみたいのは、フェラーリが1973年に発売したV型12気筒2シーター、365GT4BBの存在だ。ここでフェラーリは新開発した180度のバンク角を持つV型12気筒エンジンを完成し、それをミッドに搭載することに成功しているのだが、伝統の60度V型12気筒エンジンは、その段階でこれまでに紹介した一連の2+2GTモデルでのみ選択が可能なパワーユニットとなった。それもまた当時多くのカスタマーを、フェラーリの2+2GTへと導く大きな魅力であったことは想像に難くない。

クラシックモデルへの注目度が高まったことで、最近ではオークションシーンに姿を現すことも多くなった、365GT/4 2+2GTから412に至るまでの時代のフェラーリ製フルサイズ2+2GT。もちろんそれがベストなコンディションに保たれていればという条件はつくものの、現在のオークションでの相場を見れば、それにふたたび熱い視線が集まっていることは否定できないところだ。
はたしてそれは、これからさらにクラシック・フェラーリの入門用モデルとしての価値を高めていくことになるのだろうか。今後の動向が気になるシリーズである。