日本一売れてるクルマ「ホンダN-BOX」は長い歴史に裏付けられていた! スーパーハイト軽のご先祖「ステップバン」が先見の明の塊だった

この記事をまとめると

■1972年登場のライフステップバンは現在主流の軽ハイトワゴンの原点といえるモデルだ

■前輪駆動で低床と広い荷室を実現して商用車ながら優れたスペース効率を誇る

■のちの軽ワゴンや派生車種の方向性を先取りした先見性の高いモデルだった

軽ハイトワゴンのコンセプトは50年以上前に商品化されていた

 いまでは日本一売れているクルマとなったN-BOXを擁するホンダ。そして、そのN-BOXのライバル車としてスズキ・スペーシアとダイハツ・タントがそのあとを追うという図式が長らく続いており、完全に軽自動車の主流はスーパーハイト軽ワゴンとなっているのはご存じのとおりだ。

 そんなスーパーハイト軽ワゴンの祖として知られているのが、2003年に初代モデルが登場したタントであり、その前身となる軽トールワゴンの祖は、1993年に登場した初代ワゴンRというのも有名な話である。

 ただ、それよりもはるか前に、背の高いボディをもち、フロントにエンジンを備えたスペース効率に優れたモデルが存在していた。それが1972年9月にホンダがリリースしたライフステップバンである。

 このモデルは車名に「バン」とつくように、商用車としてリリースされたものではあったが、当時のホンダの軽乗用車であるライフのコンポーネンツの上にトールワゴンタイプのボディを被せたもので、ライフと同じく前輪駆動レイアウトであったために、駆動に関わるメカニズムはほぼフロントに集約でき、低床かつ広い荷室スペースを実現できていた。

 また、商用車ということで室内も限りなくシンプルとなっており、メーターはダッシュパネルの中央にちょこんと鎮座し、ダッシュパネルはちょっとしたテーブル状となっていて、書類の作成や伝票の整理といった簡単な作業ができるようにもなっていたのだ。

 さすがに1972年デビューの車両ということで、ドアはすべてヒンジドアでスライドドアではないが、ドア自体は大きく開くようになっており、リヤゲートは上下分割式で、ゲート下部はベンチのように使うことができるほどの強度が与えられていたのも商用車ならではといったところ。

 そして、ライフステップバン登場の翌年には、車体後部をトラック化した「ライフピックアップ」も登場。ボディサイズに制限のある軽自動車かつ前輪駆動レイアウト車をベースとしたことで、荷台のサイズはミニマムで、商用車として人気を獲得することは叶わなかったが、前輪駆動レイアウトだからこそできる派生車種であった点は、先見の明があったと言えるだろう。

 現在も、限られた全長のなかで可能な限り広い荷室を実現するために、軽自動車のバンモデルはセミキャブオーバータイプが主流となってはいるが、ライフステップバンの名前を継いだステップワゴンに代表されるように、快適性と室内空間の広さを両立させるためには前輪駆動レイアウトとするのが常識となっており、ライフステップバンはその元祖であることは間違いない事実だろう。


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小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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