あか抜けたとかいうレベルじゃなくて別クルマだよね? マイナーチェンジってウソだろレベルに激変したクルマ4台 (2/2ページ)

マイナーチェンジで大成功した例もあれば悪化した例も

 2000年から発売されていた2代目スバル・インプレッサも途中でアピアランスのビッグチェンジが図られた1台だった。

 当初は、筆者も良く知る当時のデザインマネージャー、石井さんによる「丸目」と呼ばれたヘッドライトを採用していたのだが、WRXもあるインプレッサのスポーツイメージとは異なる印象をもたせ、不評を買った顔つきだったのである。

 が、そのネガティブイメージをスバルが察したのか、2002年のマイナーチェンジで早くもフロントフェイスを刷新。スバルのラリー者を担当していた英国人デザイナーの手によるファンの間からは通称「涙目」と呼ばれたヘッドライトに変更するとともに、ボンネットまで一新(ヘッドライトのデザイン変更もかかわる)。インプレッサのイメージを大きく変えることに成功。

 が、それにとどまらず、2005年のマイナーチェンジでは通称「鷹目」と呼ばれる精悍なヘッドライト、スバルらしい航空機をモチーフとした、スプレッドウインググリルを採用するなど、もはや2代目の初期型とは別物のスポーティな佇まいとなったのである。1世代でこれほど多くのフロントフェイスのデザイン変更を受けたクルマは、そうはない。

 輸入車では、極端なマイナーチェンジによって、そのオリジナルの”奇抜な”魅力を失い、別グルマのようになり、存在感を一気に落とし、消滅してしまった1台が、日本でもめったに見かけない、フィアット・ムルティプラだった。

 ムルティプラは1950年代に登場した小型キャブオーバーワゴンをルーツとした、1998年にその名が復活した超個性的な、”深海魚”のようなルックス、2段構えのボンネット(ヘッドライトは通常の位置にロービーム、フロントウインドウ下にハイビームを配置)、そして大きなガラスエリアをもつマルチパーパスカーであった。

 全長は4005mmと短いものの、全幅は1875mm、全高も1670mmあり、そのワイドボディを生かし3人掛けシート2列(6座独立)を配置。大人6人がストレスなく移動できる空間が確保されていた。運転席以外は折り畳み可能と、荷物の積載性にもこだわりがある。パワーユニットは1.6リッターエンジン+5速MTのみで、日本へも2003年に上陸している。

 その異質なエクステリアデザイン、パッケージだけに、誰もがほしくなるようなイタリア車ではなかったが、デザインのインパクトが絶大だったことは間違いない。が、英国で「世界でもっとも醜いクルマ」と評されたからか、多くの自動車ユーザーからそのデザインの奇抜さゆえ敬遠されたからか、2004年にマイナーチェンジされた後期型で、前年にマイナーチェンジを行ったフィアット・プント似のフロントセクションに改められた。

 デザインはごくフツーになり、いいか悪いかは別にして、ムルティプラの個性だった奇抜なデザイン性が失われ、セールスは一段と低迷。イタリア生産車は2010年に終売している。余談だが、ムルティプラには市販こそされなかったハイブリッド車もあったという。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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