シリーズ随一の完成度!
インテリアは基本的にEX30と変わるところはないが、CROSS COUNTRYはパインというテーマの自然素材とリサイクル材、バイオ素材のコンビネーションで仕立てられ、ルーフの多くの部分がガラス張りになるパノラミックルーフも標準装備。室内側からドアを開ける際に触れるスカンジナビアデザインの粋を極めたデザイン、質感をもつインナードアハンドルがリサイクルされた無垢のアルミ材であることもオーナーの歓びになるはずだ。
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もちろん、EX30の装備の特徴でもある、ダッシュボード上面奥に配置されるハーマンカードンサウンドシステムも完備する。細かい点では前席の座面が長くなり、より自然な着座感が得られる改良も行われている。また、インフォテイメントシステムはスナップドラゴンの新採用で、一段とサクサク動くようになった点も2026年モデルの歓迎すべき改良点といっていい。
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EX30は、例によってボタンレスキー(Key Tag)を携帯し、クルマに近づけばドアがアンロックされ、スタートボタンなど押さずに車両の電源がON。運転席に乗り込みステアリング右側にあるシフターレバー(R/N/D-P)をDレンジにセットすればすぐに”電気で”走り出すことができる。
2026年モデルではドライブモードも新設定。航続距離を伸ばすレンジ、ノーマル、パフォーマンスの3つが選べるようになり、完全停止するワンペダルモードもオフ、低、高の設定が可能になっている。2026年モデルでは、安全装備、先進運転支援機能についても、ボルボのSUVフラッグシップ、XC90を上まわる内容が盛り込まれているのだから万全だ。
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なお、EX30の室内空間はボディサイズからすればゆったり。身長171cmの筆者のドライビングポジション基準で、前席頭上に230mm(パノラマルーフ装着車)、後席頭上に150mm、膝まわりに120mmのスペースがある。
EX30 CROSS COUNTRYの試乗は、主に都内の混雑した道と首都高速道路で行ったのだが、都市部の狭い道での扱いやすさ、完全停止するワンペダル機能による走りやすさは当然として、CROSS COUNTRYの感動に値するポイントとしてまず挙げられるのは、これまでのEX30を凌ぐ19インチサマータイヤ装着によるしなやかでフラットな乗り心地のよさ、快適感と、速度と路面を問わないBEVならではの車内の静かさだ。
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電気自動車はエンジンがないから静かで当然……と思うかもしれないが、そのぶん、ロードノイズが目立ってきたりするもの。が、タイヤの静音性能と車体側の遮音性能の高さから、走り慣れていてもいつもロードノイズが目立つ路面でも、不快な音は見事に抑えられ、驚くほどの車内の静かさを示してくれた。「電気自動車はこうじゃないと!」と思わせてくれたほどだった。
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EX30より車高が20mm上がれば、BEVの低重心パッケージとはいえ重心が高まるわけだが、今回経験した首都高のカーブなどでの操縦性、フットワークはもう絶品。具体的には、パワーステアリングのトルクの立ち上がりを穏やかにした、軽すぎず重すぎないスムースな操舵感、扱いやすさはもちろん、けっこうな速度でカーブに進入しても、まるで4輪のタイヤが路面に張り付くような絶大なる安定感(安心感)と、挙動変化の少なさを発揮してくれることを確認できた。
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しかし、EX30 CROSS COUNTRYの実力はそれにとどまらない。EX30のシングルモーターに対して約120kgも重くなるものの、フロント156馬力・200Nm、リヤ272馬力・343Nmのスペックを誇る動力性能は強烈で、シングルモーターに比べ中間加速の速さはもちろん、とくに前後モーターが常時つながるパフォーマンスモードでアクセルペダルを強く踏み込めば、アクセルレスポンスの高まりとともに、それこそ血の気が引く、体がのけぞるほどの強力な加速力を瞬時にシームレスに発揮。そりゃそうだ、0-100km/h加速3.7秒はハイパフォーマンススポーツカーに匹敵するのである。
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EX30 CROSS COUNTRYの価格はEX30シリーズでもっとも高価ながら(国からの補助金は36万円)、洗練されたクリーンさが魅力のEX30より、さらに個性的でアウトドアテイスト満点。乗り心地、悪路走破性まで高められている。
これまでEX30の19インチタイヤ装着車、オプションの20インチタイヤ装着車をオンロード、サーキット、雪道で乗ってきた経験のある筆者からすれば、専用サスペンション×19インチタイヤによる超コンフォータブルな乗り味を、超ハイパフォーマンスとともに味わせてくれることから、ベスト・オブEX30であると結論付けたいところだ。
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未試乗だが、一充電航続距離がEX30最長の560kmとなるEX30 Plus Single Motor Extended Range(後輪駆動)も、価格とBEVとしての使い勝手のハイバランスが光る1台となりうるだろう。
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