この記事をまとめると
■三菱eKスペースとデリカミニがフルモデルチェンジを実施した
■三菱自動車工業商品戦略本部商品力評価部の平山敦朗担当部長に新型の特徴を聞いた
■プラットフォームが新しくなり乗り心地や走りなどが大幅に進化しているという
新設計のプラットフォームがベース車のレベルを底上げ
三菱のクロスオーバー超背高軽ワゴン「デリカミニ」と、そのベース車である「eKスペース」がフルモデルチェンジ。それぞれ2代目と3代目に生まれ変わることとなった。果たしてその進化のポイントは? 三菱自動車工業商品戦略本部商品力評価部の平山敦朗担当部長に聞いた。
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──デリカミニは2023年5月の発売以降、月販平均台数は約3400台と好調だったようですが、eKスペースはどうだったのでしょうか?
「月販400台を切るくらいだったと思います」
──新型はeKスペースもエクステリアデザインが綺麗になり、インテリアもお洒落な雰囲気になって、こちらもしっかり売っていこうという気概を感じました。
「そうですね。いま営業のメンバーに説明をしていますが、そこでも『eKスペースも台数をしっかり売っていきましょう』という話をさせていただいています」
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──ということは、eKスペースにもターボエンジンや4WDの設定があるのでしょうか?
「4WDはあります。エンジンはNAだけですね」
──新型のメカニズムは、基本的には先代のものを継承しつつ、もっと洗練させていこうという考え方でしょうか?
「基本的に同じですが、パワートレインは消音を早めるべくフローシャットバルブを搭載したり、ピストンにコーティングをしてフリクションを低減したりしています。トランスミッションはCVTのプログラムを変更したのが一番大きいですね。そうして走りと燃費を両立しています」
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「サスペンションはKYBさんの『プロスムース』ダンパーを全車に採用し、それをベースとしたうえで、デリカミニの4WD車に関しては、デリカD:5のサスペンションを開発したメンバーが岡崎のテストコースで専用チューンを行ったのがポイントですね」
──デリカミニの4WD車が非常に走りが良いのは先代もそうだったのですが、今回の撮影会で会場内を少し走っただけでも、デリカミニの4WD車はもちろん、eKスペースのFF車も乗り心地がとてもよくなっているのを感じました。それは日産さんのほうも同じなんでしょうか?
「それに関しては姉妹車と同じです」
──そういう意味では新型は、必ずしもデリカミニの4WD車を選ばなくともよくなっている……。
「クルマ自体が新型になり、プラットフォームがよくなって、ベース車のレベルが底上げされたこともあるので、それを恐らく感じていただけているのだと思います」
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──ボディにも補強を入れるなどの改良が加えられているのでしょうか?
「上屋はまったく新しくなっていますし、プラットフォームも一部新作になっています。サスペンションもダンパーやスタビライザーだけではなくスプリングも手直ししています」
──確かに、乗り味が全体的に洗練された印象は強く感じました。
「軽自動車としては上質な乗り味になったと我々も感じています。静かにもなっていますし」
──ボディのサイズ、全高は変えていないんでしょうか?
「全高は変えていません。パッケージングとしては、フロントウインドウを少し前に出して、サイドも少し起こしていますね。クルマ全体を少し大きくしています」
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──従来モデルも相当広かったと思いますが……。
「このカテゴリーのクルマは前後左右を目一杯使ったうえで、高さ方向でどのくらい室内空間を広くできるか、という点が開発のポイントになりますね」
──そうなると新型は、従来モデルよりも横風対策が一層辛くなりそうです。
「そうしたふらつきを抑えるために、サスペンションの改良を施してきました。空力ももちろん改善しています」