デリカミニは専用開発されたドライブモードを備える
──シートの座り心地も非常によくなりましたが、どういった点を変更されたのでしょうか?
「上級グレードに関しては、生地の伸び率を変更して、より伸びやすく、身体にフィットしやすくしています。後席はさらに、ショルダーまわりの形状を見直し、座面長も少し延長していますので、そういった点で座り心地が改善されていると思います」
三菱デリカミニのシート画像はこちら
──シートの骨格やクッション自体の素材や厚みは変更されていないのでしょうか?
「骨格自体は同じですね」
──シート表皮は、デリカミニの方が張りが強く、とくに後席はがっしりした座り心地に感じました。それに対してeKスペースは、生地の張りがさほど強くなく、当たりがソフトでした。その違いはやはり、表皮の違いでそうなっているのでしょうか?
「表皮の違いでもありますね。デリカミニは先代と比べても生地が伸びるようになっていて、シート形状も身体を預けたときに全身がフィットするのを狙っています。でありながら、しっかりホールドして、ラフロードを走って身体が動いた時もしっかり身体をサポートするようになっていますね」
三菱eKスペースのシート画像はこちら
──見た目にも、とくに後席の背もたれはラウンドした形状になっていますよね。
「ショルダー部からボルスター(背もたれの最上部)にかけて、少しラウンドさせていますね」
──先代デリカミニの時点で隙のないクルマに仕上がっていたのが、新型になって本当にわずかな気になるポイントも潰してきた、という印象を受けています。
「先代デリカミニで幅広いお客さまに使っていただきましたので、その声を反映できたと思います。ご存じのとおり、デリカミニはeKクロススペースのマイナーチェンジとして開発されたので、走りの面でもできることは限られていたのですが、今回のフルモデルチェンジでは、我々の想いもNMKV(日産と三菱の軽自動車企画・開発ジョイントベンチャー)に伝えながら開発してきました。サスペンションのセットアップもそうですし、デリカミニ独自のドライブモードにもそれが表れています」
三菱デリカミニのドライブモードセレクト画面画像はこちら
──5種類のドライブモードが実装されるのはデリカミニの4WD車だけでしょうか?
「FF車にも4WD車にもあります。ですが、FF車は駆動力制御が前輪だけになるので、二輪駆動なりの走破性にはなりますが、ドライブモードの基本的な考え方は同じにしています」
──ドライブモードの切り替えスイッチは、eKスペースがトグル式なのに対し、デリカミニは大きなダイヤル式になっていますよね。
「そうしてデリカミニを特徴づけているのですが、それを実現するために、エアコン操作系のパネルもデリカミニ専用に作りわけているくらいなので(笑)」
三菱デリカミニのドライブモードセレクター画像はこちら
──そこはすごくお金がかかっていますよね(笑)
「おっしゃるとおりです(笑)。でもそれくらい、三菱としては大切にしてきた部分ではありますね。デリカがよりデリカらしくなるように表現したポイントのひとつですね」
──新型ではADAS(先進運転支援システム)のユニットも変更されたのでしょうか?
「従来はライセンスプレートの下側にミリ波レーダーがあったのですが、新型ではクルマの中心のより高いところに移しています」
──ミリ波レーダーは別物になっている……?
「まぁ……具体的なスペックはもち合わせていませんが(笑)。メーターの表示も三菱側で専用化していて、ヒルディセントコントロールやグリップコントロールの作動表示画面も同様です。ドライブモードの切り替え画面も可愛らしく親しみやすくして、トライトンやアウトランダーとはテイストを変えていますね。アイドリングストップ時も、心臓の鼓動のような表現を入れています」
三菱デリカミニのグリップコントロール時の画面画像はこちら
「なお、ヒルディセントコントロールは、従来が20km/hまでだったところ、新型では30km/hまで拡大して、かつ一度制御が入れば35km/hまで車速を上げられるようになっています。また、勾配も5%から利くようになっているんですが、エマージェンシー的な使い方だけではなく、日常の便利機能としても使っていただきたいので、5%という幅の広い勾配から使っていただけるようにしています。これはアウトランダーやトライトンも同じ考え方ですね」
「イメージとしては、大規模スーパーマーケットの屋上駐車場の勾配がおおよそ6〜7%なので、雪が降ってまだ残っているようなときにでも使っていただけますね。当然リバースでも利くので、春先の滑りやすい路面で上れなくなったときも、リバースに入れてもらえれば安全に戻れます。ヒルスタートアシストのほうも5%で利くようになっています」
──これほど細部にわたり進化していると、お値段が気になりますが……。
「値段は少し上がると思います。なお今回は、Googleや3Dアラウンドビューモニター、ドライブレコーダー、ETCを全部セットにしたパッケージを提案する予定です」
三菱デリカミニとeKスペースのフロントスタイリング画像はこちら
──どのような形で発売されるのか、発表を楽しみに待ちたいと思います。ありがとうございました!