「走りならリヤ駆動」って本気でわかっていってる? FF嫌いは単なる刷り込みな可能性大! (2/2ページ)

走りの性能だけを見ればFFもFRも大差はない

 3つ目は、横置きエンジンに限定されるが、アクセルのオン・オフで、エンジン自体が前後に首を振り、その違和感がどうも気になるというケース。

 最後はもっと単純で、いわゆるパワースライドができないから。アクセルオンでヨーイングを大きくできるのは後輪駆動車の特権なので、これが手放せない人はFFアレルギーになってしまう。

 もっとも、フロントヘビーによるアンダーステアとトラクションがかかりづらい問題は、タイヤの性能が飛躍的にアップしたことで、ほぼ解消したといえる。シビックタイプRのように、330馬力/420Nmのターボエンジンですら、FF車に搭載できるようになったのがその証だ。もちろん、シャシー・サスペンションの進化、電子制御の進化も大きく貢献していて、後輪駆動車よりハンドリングのいいFFスポーツも珍しくなくなってきているほど。

 アクセルのオン・オフによる、横置きエンジンの首振りも、マウントブッシュの位置や材質、設計、精度の問題なので、気にならないレベルになってきた。

 最後のパワースライド云々に関しては、良し悪しというより好き嫌いの問題なので、ここが最後のわかれ目かもしれないが、どうしてもFRがよければ、RZ34やGR86/BRZ、NDロードスターなど、新車で選べるFRスポーツもあるし、GRヤリスほか、4WDスポーツという選択肢もある。輸入車ならMRやRRもあるので、そちらを選ぶ手もあるが、走りの性能だけを客観的に見れば、FFもFRも大差はなく、いいFFもあればイマイチのFFもあるというだけ。いいFFは並のFRよりもハンドリングが優れていて、そのまた反対も当然ある。

 いまや駆動方式にかかわらず、いいクルマはいいし、残念なクルマは残念で、すべては個別の問題レベル。
FFの走りっぷりにネガティブなイメージを抱くのは、少々先入観が強すぎると思われる。

 もっとも、物理的な資質でいえばFFがスポーツ走行に不利なのは事実なので、FFのハンドリングをよくするために注いだ技術とエネルギーをFRに注いだら、もっといいFR車ができたのだろうな、と思う気もちが拭えないことまでは否定できない……。


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藤田竜太 FUJITA RYUTA

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