社員教育と同時にメカニックの輝ける場所を求めS耐からスタート
──埼玉Green Braveは確か、スーパーGTに参戦する前にスーパー耐久に参戦されていましたよね?
青柳室長:そうです。チームを結成してスーパー耐久への参戦を開始したのが2013年です。同時に86/BRZレースなどにもスポット参戦していました。スーパーGTへの参戦を開始したのは2017年ですね。
──もともとレース活動は社員教育の一環としてはじめられたんですよね?
青柳室長:はい。それと同時にどうしても自動車の販売会社は営業職が主役で、クルマを売ったセールスが表彰されやすい。当時は処遇・待遇もメカニックより営業職のほうがよかったですからね。レース活動を行うことで、整備士にスポットのあたる場所を作りたかった……という部分もありました。
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──なるほど。確かにセールスが販売したクルマをしっかり整備しているのはメカニックですもんね。
青柳室長:メカニックたちの仕事に魅力をつけたい。メカニックという仕事に誇りをもってもらえるように彼らに光のあたるステージを作ってあげたい、という思いがありました。
──それが、社員教育の一環としてはじめたスーパー耐久だったんですね?
青柳室長:スーパー耐久をはじめたもうひとつの理由がリクルートです。最近はクルマに関心をもつ子どもたちが減ってきて、整備士になりたいという子どもも少なくなりました。整備士の学校が定員割れを起こすことも多いなか、学校を卒業して販売店に入ってくれる人を増やすため、なにか特徴をつけたい、という部分もありました。クルマの魅力を伝えるうえでもモータースポーツは効果的ですし、当時はまだモータースポーツ活動をやっているディーラーも少なかったので、スーパー耐久をはじめました。
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──確かにいまはどこのディーラーも整備士の確保に苦労していますよね。その社員教育およびリクルートの一環としてスーパー耐久をはじめましたが、2017年からスーパーGTをはじめた理由はなんだったのでしょうか?
青柳室長:ディーラーの特徴として、スーパー耐久でモータースポーツ活動をはじめましたが、より広く、効果的に伝えられるカテゴリーとしては、やはり国内最高峰のスーパーGTがいいのではないか。同時にモータースポーツ活動を始めたときから国際カテゴリーにいつか挑戦したいという思いもありました。スーパー耐久でチャンピオンをとれるようになってきた(2015年にST-4クラスで初のタイトルを獲得)し、整備力もあがってレース運営の土台もできてきた。クルマの魅力を効果的に伝えて、リクルートに繋げていくと同時にメカニックのステータスを上げるためにトップカテゴリーのスーパーGTに参戦することになりました。
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──スーパーGTへ参戦する際になにが大変でしたか?
青柳室長:スーパー耐久よりスーパーGTは参戦コストがかかりますからね。そういった予算調整が大変でした。それに、スーパーGTとスーパー耐久はクルマが違いますよね。GT300クラスはFIA-GT3にGTA-GT300、GT300MCといろいろな規格があるなか、どのクルマがいちばん私たちの活動に適しているのか、大義名分に合わせながら絞り込んでいくのが大変でしたね。