この記事をまとめると
■日本では左ハンドル車を見かける機会がめっきり少なくなった
■グローバルではクルマは左ハンドル車が主流だ
■ミャンマーは右側通行なのに右ハンドル車が多くていろいろと大変なようだ
左ハンドルが輸入車の証でステイタスシンボルだった日本
最近、日本で左ハンドル車を見かける機会が減った。そう思っている人がいるかもしれない。以前は「外車」と呼ばれていた海外ブランドの車の多くが左ハンドル車であり、それはある意味でステイタスシンボルでもあったが、近年は輸入車メーカー各社が日本向けで右ハンドル車を標準化するようになっている。
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そもそも、なぜ右ハンドル車と左ハンドル車が世のなかに併存しているのか。
それは、国や地域の道路交通法によって、道路の左側通行と右側通行があるからだ。左側通行ではセンターラインが車の右側になるので、右ハンドル車だと走りやすく、右側通行ではその逆となる。
では、なぜ左側通行と右側通行が並存しているのか。
現在、左側通行を採用している国や地域は、英国、および同国と歴史上深い関係がある国が多い。具体的にはオーストラリア、ニュージーランド、インド、そしてアフリカ諸国などだ。そのほかには、タイや日本がある。国や地域の数でいえば、右側通行が多いので、クルマは左ハンドル車が主流ということになる。
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では、日本はなぜ左側通行なのか。
JAF(日本自動車連盟)のホームページには、「道路交通法に規定されているためですが、その施行以前から左側通行に馴染みがあったという説が有力です」と回答している。
道路交通法の規定とは、昭和24年(1949年)と昭和35年(1960年)によるものだ。また、明治14年には、警視庁が左側通行について通達を出している。そして、JAFのホームページの記載を含めて、よく聞く話として、日本では武士が刀を左にさすので、右側通行だと刀どうしがぶつかってしまうから、という説がある。
こうした各国の事情を踏まえて、筆者が世界各地を巡るなかで「右側通行なのに右ハンドル車が多いといろいろ大変だ」という経験をした国がある。それは、ミャンマーだ。
理由は、日本から中古車が大量に輸入されているため。ロシアでも一時、日本からの右ハンドル車が多かった時期があるが、ミャンマーの場合は、経済の高度成長に合わせて都市部に右ハンドル車が一気に増えた印象がある。
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まぁ、乗用車の場合は、日本で左ハンドル車を乗る感覚なのでなんとかなるが、公共バスの場合は乗客の出入りが右側になると、交通量の多い場所では危険であり、また渋滞の原因にもなる。そこで、車体の左側を大きく切り抜いて簡易的な出入り口をつけて走っていた。
2019年以降、ミャンマーでは右ハンドル車の輸入規制を始めたため、徐々に左ハンドル車が増えていくだろう。