プロはどうやってペダルを踏んでシフトを動かしてる? 全日本ジムカーナで3名のトッププロから「使っているテク」を聞き出した (2/2ページ)

ドライバーごとに異なるドライビングに対する考え方とテクニック

 NDロードスターでPN3クラスに挑む川北忠選手はペダルワークについて、「左足はフットレストに置いていて、必要なときだけクラッチを踏み込んでいます」とのこと。さらに、川北選手も左足ブレーキではなく、右足でアクセルとブレーキを踏んでいるようで、「『ヒール&トゥ』なんですけど、僕は身体が硬くて足がしっかり曲がらないので『トゥ&トゥ』に近い状態です」と解説する。

 気になるシフトワークに関しては、「1速から2速へシフトチェンジする際、以前は左側に押してから弾いていましたが、力まかせでシフトを入れるとミスが多いので、いまは人差し指と中指に力を入れて引っ張る感じで操作しています。もし、そこでシフトが弾かれるのなら、入れ直せばいいですしね。ジムカーナでは1速と2速のシフトチェンジが多いんですけど、そのほうが手の動きが少なくて済むし、1速と2速のシフトチェンジのためにシフトのもち方を変えたくなかったので、同じ握り方で操作しています」と川北選手は説明。

 ちなみにコーナーが連続する場合、川北選手は左手をシフトに置いたまま右手のみでステアリングを操作し、クラッチに関しても左足をフットレストに戻さずにクラッチ付近で待機しているようで、「最初は左手も左足もいちいち戻していたんですけど、その必要もないな……と思うようになって、自然といまのスタイルになりました」とのことである。

 そして、GRヤリスを武器にPN4クラスで活躍する津川信次選手は、「ジムカーナは右手だけでステアリングをまわすシーンが多いです。ステアリングに右手を押し付けるような感じで操作をするんですけど、ステアリングの材質とレーシンググローブの材質が重要で、滑らないような物を選びたい。自分もいろいろと試したけれど、ステアリングはバックスキンで、グローブはスパルコのイボイボがついたモデルがグリップ力が高くてよかった」と、ステアリングワークにおけるポイントを解説したうえで、シフトワークについて次のように解説してくれた。

「ジムカーナは常にステアリング操作をして、クルマが左右に動いているから、確実にシフト操作をしないといけない。1速に入れるときは1速側にしっかりと落とし込んで入れるようにしているし、2速のときもアウト側に押し入れています。普段の街乗りのような感じでシフト操作をするとミスに繋がるので1速と2速は確実にシフトチェンジできるように左側を入れるように意識している。そこから3速に入れるときはニュートラルにポンと落ちるので、その自然に戻ろうとする勢いを利用して奥の3速へいれる感じ。だから、2速から3速に入れるときはシフトの握り方も軽く握った状態で操作しています」

 一方、ペダルワークに関しては「基本的に左足はフットレストに置いて、クラッチを切る際に左足で踏み込む」とのこと。ちなみに、シフト操作が連続する場合、左手はシフトレバーを握ったままだが、左足はその都度フットレストへ戻しているようで、「左右に横Gがかかるから、クラッチを切らないときはフットレストに足を戻して踏ん張らないと身体をホールドできない」と津川選手は語る。

 津川選手も左足ブレーキは使っていないようで、右足でアクセルとブレーキペダルを操作。ヒール&トゥについては、「アクセルペダルにアシストプレートをつけているので、そんなに足を動かさなくていいけれど、それでもノーマルで走ることも多いので、『ヒール&トゥ』はできるだけ足を動かしています」とのことである。

 このようにドライバーによってシフトワークとペダルワークは異なるが、今回、レクチャーを行ってくれた朝山選手はPN1クラス、川北選手はPN3クラス、津川選手はPN4クラスを制覇。つまり、どのスタイルも正解となっているだけに、スポーツ走行を行う際は参考にしたいものだ。


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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