パワーのGR86とトラクションのロードスター
一方、2016年にPN4クラスでチャンピオンに輝くなど四駆駆動車で活躍してきた野島孝宏選手は、ロードスターとGR86の違いをどのように分析しているのか? ロードスターでPN3クラスへの参戦を開始した野島選手も2025年に合わせて、GR86へマシンをスイッチしており、開幕戦の筑波で優勝。
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そんな野島選手がロードスターの武器として挙げたのがコーナーリング性能で、「ロードスターはコーナーリングがいいですね。それにトラクションもすごくいい。たとえばターンのやりやすさでいえばGR86のほうがいいんですけど、トラクションがあるので立ち上がってくれますね」と語る。
気になるロードスターの弱点については、「自分のセッティングの能力が低いこともあるんですけど、少しダルい感じがあって違和感がありました。いろいろとセッティングを変えてみたんですけど、自分の操作に対して満点で反応してくれる感覚がなかったですね」とのことだ。
これに対して、GR86の武器について野島選手は、「GR86はエンジンパワーもあるし、アクセルに対する“ツキ”もいい。クルマが早く反応してくれるので、フロントの動き出しのフィーリングはシャープです。イメージどおりに頭が入ってくれるので、僕の好みにあっています」と回答している。
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逆にGR86の弱点について野島選手は、「GR86はトラクション性能が低いんですよね。ロードスターは排気量が低く、パワーがないことから、タイヤにかかる負担も少なく、そのぶんだけ前に進んでくれると思うんですけど、GR86はパワーがあって滑りやすいので前に進まない。ぶっちゃけ、GR86はタイヤに依存する部分が大きいと思います。ハイグリップタイヤならまた違ってくると思うんですけど、現在のPN規定で使えるタイヤではそういった傾向があります」と分析する。
そのうえで、ロードスターとGR86のどちらが速いのか……という質問をしてみると、野島選手は「コース設定にもよりますが、パイロンコースではロードスター、サーキットコースならGR86のほうが有利なように感じますね」と分析。
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さらに、初心者におすすめしたいモデルを聞いてみると「GR86のほうが荷物を積めるんですけど、タイヤのライフはロードスターのほうがいいので考え方次第だと思います。でも、GR86のいいところはトラブルが少ないこと。長く続けようという人にはミッションオイルの管理など、シビアなメンテナンスが必要なロードスターより、GR86のほうがいいのかもしれませんね」とのことだった。
このように、ロードスターとGR86にはそれぞれメリットとデメリットがあり、コースによって得手・不得手があるが、それでも実力は均衡しており、常にPN3クラスで激しいバトルを展開しているのである。
ちなみに第7戦のスーパースラロームIN久万高原ではロードスターの川北忠選手が優勝したほか、同じくロードスターの安仲慶祐選手が2位に入賞したことで、ロードスター勢が1-2フィニッシュを達成。
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野島選手がGR86/BRZ勢の最上位となる3位で表彰台を獲得し、第1ヒートでミスコース、第2ヒートでガス欠に終わったユウ選手はリザルトが残らずに四国ラウンドを終えることとなった。