BMWのデザインが刷新される第1弾をプロが斬る! iX3の「顔」はいいがボディの凡庸感が残念!! (2/2ページ)

フロントフェイス以外に新しさはない?

 ただ、逆にいうと顔以外のボディ全体については少々疑問が残ります。そもそも、コンセプトカーの段階で、極めてまとまりのいいセダン版に比べ、SUV版の「X」は全体の造形自体に特段の新しさが感じられませんでした。唯一、ホーイドンク氏が「モノシリック(一枚岩のような)なサーフェス」と語るフラットな面が特徴でした。

 ところが、新型ではその面構成が極めて「普通」になってしまったのです。とくに前後フェンダーとそれを結ぶショルダーラインは、なるほどよく磨き込まれたシンプルな面ですが、しかし造形自体はいまどきのSUVと大きく変わりません。

 もちろん、多くの要件を満たす必要がある量産車が、コンセプトカーそのものにならないのは周知のとおりですが、しかし特徴を決定付ける要素自体が失われてしまうのは残念といわざるを得ません。

 新型1シリーズなど、ごく最近のBMW車はランプのグラフィックなど、部分的にコンセプトカーの要素を取り入れていました。そこに何となく中途半端さを感じていたのですが、iX3もその流れのまま出て来てしまったように見えてしまうのです。すっきりした顔と滑らかになったボディ面だけで、過去最大のプロジェクトといってしまっていいのか?

 したがって、当面は新型3シリーズとウワサされるセダン版ノイエクラッセの再現性に興味が高まります。あのコンセプトカーのタイムレスな端正さがどのように量産化されるのか、楽しみに待ちたいと思います。


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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