この記事をまとめると
■16代目のクラウンは2022年から2025年にかけて4モデルが登場した
■形だけでなく性格もそれぞれ異なるのが特徴だ
■もっともクラウンらしいのはセダンだがトータルバランスで選ぶならエステートだ
4つのクラウンの選び方
クラウンの「革新と挑戦」のDNAを受け継ぐ16代目となる新型クラウンは、周知のとおり、クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートの4モデルが揃い、2022年のワールドプレミア後、まずはクロスオーバーから発売され、2023年にスポーツとセダン、そして2025年に最後のピースとなるエステートが登場。群として開発されたクラウンシリーズが、ひとまず完成したことになる。
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そんな16代目クラウンは、クロスオーバー、スポーツ、エステート群とセダンにわけられる。
というのは、15代目までセダンの王道、FR=後輪駆動にこだわってきたクラウンだが、クロスオーバー、スポーツ、エステートはなんと2.5リッターエンジン+2モーターのハイブリッド×4WDを基本としている。一方、16代目クラウン群のなかで従来価値を引き継ぎ進化させたセダンは、燃料電池車のMIRAIをベースにしたFR=後輪駆動をクラウンとして継承しているのが特徴だ。ちなみにセダン以外はトヨタとしてSUVに分類されている。
4車種となったクラウンは、ボディスタイルはもちろん、ボディサイズも以下のように異なる。
クロスオーバー:全長4940×全幅1840×全高1540mm・ホイールベース2850mm。
スポーツ:全長4720×全幅1890×全高1570mm・ホイールベース2770mm。
セダン:全長5030×全幅1890×全高1475mm・ホイールベース3000mm。
エステート:全長4930×全幅1880×全高1625mm・ホイールベース2850mm。
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つまり、クロスオーバーのサイズが15代目以前のクラウンにもっとも近く(とくに全幅)、スポーツは全長、ホイールベースともにスポーティな走りにこだわるショーティ&ワイドなプロポーション。セダンはショーファーカー需要も視野に入れた、4台のなかでもっとも長い全長とホイールベースとなり、エステートはステーションワゴンにして4台中、もっとも高い全高に仕立てられているのである。
パワートレインは2.5リッター直4+2モーターのストロングハイブリッドを基本とするが、クロスオーバーのみ2.4リッター直4ガソリンターボエンジン+デュアルブーストハイブリッドをRSグレードとして用意。スポーツとエステートには、2.5リッターエンジン+モーターの充電可能なPHEVをRSグレードとして用意。そしてFR、2WDのセダンにはトヨタ初の2.5リッターNA+モーターのマルチステージハイブリッドシステム10速ATが備わり、MIRAI由来の燃料電池車も揃うのが特徴となる。
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4車種それぞれの個性を挙げると、じつは初作のクロスオーバーが、前述の全幅の件も含め、15代目以前のクラウンにもっとも近いと思える。クロスオーバーといってもジェントルなスタイルであり、繰り返しになるが、1840mmの車幅は16代目クラウンシリーズでもっとも幅狭だからである。そしてGグレードで1760kg、メインのZグレードで1810kgという車重も、それぞれのグレードで最軽量ということになる。
また、16代目クラウンでもっともパワフルなのはクロスオーバーのガソリンターボのRSであり、エンジン272馬力・46.9kg-m、Fモーター82.9馬力・29.8kg-m、Rモーター80.2馬力・17.2kg-mを発揮。そのぶん、WLTCモード燃費はハイブリッドのクロスオーバーZの22.2km/Lに対して、16代目クラウンシリーズでもっとも低い15.7km/Lにとどまる。
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インテリア、とくにインパネデザイン、シフターなどは4車種ともほぼ共通。パッケージ、室内空間的にはクロスオーバーとエステートが近く(ラゲッジルームは別)、スポーツはその流麗なスポーツカー的スタイリングからも想像できるように、前席優先のパッケージ(それでも後席は窮屈ではない)。セダンは16代目クラウン最大級の後席ニースペースを誇るものの、低全高パッケージによって、パノラマルーフを備えてしまうと頭上方向は身長172cmの筆者でもギリギリという印象なのである。
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ラゲッジルームの容量、使い勝手、アレンジ性では、当然だがエステートが圧倒する(エステート約570リットルに対しクロスオーバー約450リットル)。開口部地上高は720mm(開口部段差なし)とSUV並みに高く、後席使用時のフロア奥行きこそクロスオーバー同等(クロスオーバー1100mm/エステート1050mm)なものの、フロア幅にも余裕がある(クロスオーバー1030~1300mm/エステート1030~1420mm)。
なおかつ後席を倒し、標準装備の「ラゲージルーム拡張ボード」をパタリと倒すことで全長2000mmのフラットスペースが出現するのだから、ショートサーフボードやロードバイクなどの長尺物の積載はもちろん、車中泊も余裕でこなせるというわけで、クルマの使い方の自由度で圧倒するのがエステートということになる。
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