この記事をまとめると
■ホンダ・プレリュードが24年ぶりに復活した
■シビックe:HEVやタイプRの機能や技術を応用している
■高価格なクルマだが刺さる人にはオススメの1台だ
話題のプレリュードを公道で試す
約24年ぶり、およそ四半世紀の歳月を経て復活を果たした、6代目「プレリュード」。これをついに一般公道で走らせる機会が訪れた。以前、クローズドコースで乗った印象は、ひとこと「滑か」。そしてこのフィーリングが、路面を選ばぬ一般道で、どこまで実現されているのかが、ひとつの大きな注目ポイントだといえるだろう。
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さて、そんな新型プレリュードだが、率直ないい方をすれば、それは「シビック・クーペ」だ。そのパワーユニットは、2リッターのアトキンソンサイクル式の直列4気筒エンジン(141馬力/182Nm)を核とした、ホンダ独自のハイブリッドシステム「e:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)」。システム出力約200馬力を発揮するこのパラレル・シリーズ・ハイブリッドには、走行用モーター(184馬力/315Nm)、バッテリーやコントロールユニットに至るまで、シビックe:HEVと同じシステムが使われている。
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対するシャシーもシビックのプラットフォームを流用して、そのホイールベースを2735mmから2605mmまで短縮。さらに全高を1335mmまで低めて低重心化し、全幅をシビックタイプRにあと10mmまで迫る、1880mmまでワイド化した。これによってホイールベース・トレッド比は約1.6となり、タイプR(約1.69)よりも俊敏な身のこなしが得られるようになったという。
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そんなプレリュードを、単なる「3ドアハッチのシビック」に陳腐化させないための飛び道具はふたつある。ひとつはe:HEVの制御システムに、「S+Shift」を搭載したこと。そしてもうひとつはデュアルアクシス・ストラットや可変ダンパーといった、タイプR譲りのリソースを使って、フットワークの次元を押し上げたことだ。
街なかを走るプレリュードは、じつに大人っぽい味わいだ。
低く構えたボディに、がっしりと位置決めされた足まわり。そこによりソフトなスプリングと、それをコントロールするダンパーが追従して、スムースにタイヤを転がす。優しい乗り心地を保ちながらも、ハンドルを切れば正確に応答する身のこなしは、「これだよ!」と膝を打ちたくなるバランスのよさ。タイプRに興味を抱きながら、あまりの体育会系っぷりに二の足を踏んでいたユーザーも、この乗り心地ならきっと満足できるはずだ。
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ちなみにロワアームを始めとした各ブッシュのコンプライアンスは、シビックでいうとタイプRとRSの中間くらいだという。しっかりした骨格に、固すぎず柔らかすぎないブッシュ。リヤシート直下に積んだ走行用バッテリーも、低重心化のみならず、突き上げを抑え込むのにうまく効果を発揮しているように感じられた。
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クローズドコースだとやや足りないと感じた「コンフォート」モードの減衰力も、荒れた路面だとなるほど快適。バネ下の19インチタイヤを上手に動かしながら、とても気もちよくドライブすることができた。
こうしたとても快適な乗り味に対して、唯一残念だったのはロードノイズだ。ドライバーのすぐ後ろにリヤタイヤがあることと、e:HEVの制御が静かなことで、むしろこれが目立ってしまった。ホンダいわく遮音性はかなり高めたとのことだったが、これだけ乗り心地やパワーユニットの静粛性が高いレベルにあるなら、もっとコストを掛けて遮音したり、音を打ち消す工夫をしてもいいと思う。
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