3列シートのミニバンとして登場するも強力なライバルの後塵を拝す
当時のボクのインプレッションを振り返れば、「ワゴンのように背の高さを感じにくい、親しみやすいスタイリング、乗用車感覚のドライビングフィールが特徴で、走りに振った『スポーツ-E』、全高、車幅をアップしたSUVテイストある『スポーツギヤ』が追加され、モデルバリエーションの豊富さもグランディスならでは」
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「走らせれば、デビュー当初からミニバンとしては低重心感覚の走りが自慢で、2005年のMCでは標準車の走りの熟成が図られ、一段と上質で乗用車的な走りを身につけた。2.4リッターエンジン+4速ATのパワーユニットはとくにパワフルではないものの、定員乗車でも過不足ない加速力を発揮」
「特筆すべきは2004年に加わったスポーツEグレードで、欧州仕様の足まわりが与えられ、ソリッド感ある乗り味、シャープなハンドリングを実現。安定感の高さはもとより、ミニバンにして走りの楽しさを味わわせてくれる、走り好きドライバーをも納得させるグレードである。ただし、一世代前のエンジンは、回転を上げると途端にノイジーになるのが惜しまれる」
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「パッケージングでは、1/2列目席はクラスの平均値的スペース。が、3列目席はフロアが高いこともあって、乗降性はいまひとつ。スペース的にも余裕があるとはいえない。1/2列目ベストなミニバンと考えたい⋯⋯」、とある。
具体的には、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で、1列目席頭上に90mm、2列目席頭上に70mm、膝まわりに200mm、3列目席頭上に110mm、膝まわりに最小80mmのスペースがあった。ちなみに当時のオデッセイは1列目席頭上に180mm、2列目席頭上に150mm、膝まわりに220mm、3列目席頭上に80mm、膝まわりに130mm(2列目席膝まわり130mmのシートスライドの場合)と、ミニバンとしての1/2列目席は決して広々としたスペースではなかったのだ。
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発売当初は月販3000台を目標にしていたグランディスだが、当時のミニバンはトヨタのシエンタ、カローラスパシオ、ウィッシュ、アイシス、イプサム、ノア&ヴォクシー、エスティマ、アルファード、日産のラフェスタ、キュービック、セレナ、プレサージュ、エルグランド、ホンダのモビリオ、ストリーム、エディックス、ステップワゴン、オデッセイ、エリシオン、マツダのプレマシー、MPVなど、多くのモデルが存在し、好みのわかれるスタイリングや2004年のリコール隠しの影響もあって、月間販売台数40台以下という月もあるほど、販売面では成功といえなかったのも事実。日本においては2012年までの9年間、1代限りのモデルとなったのである(欧州、中国では継続)。
しかし、冒頭で紹介したように、まずは欧州でグランディスの車名が13年ぶりに、コンパクトSUVに姿を変え、マイルドハイブリッド、ハイブリットとして復活。デジタル化、Google搭載によるコネクティッド機能、最新の先進運転支援機能などを満載し、なおかつ日本の路上でも大きすぎないサイズだと予想できるため、日本でもグランディスの車名の復活とともに、ぜひとも販売してほしいと願う。
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すでに発表されている新型グランディス、内外装ともに相当、カッコいいのだから!! となれば、デリカミニ、エクリプスクロス、アウトランダー、トライトンとともに、三菱らしいSUVのフルラインアップが完成することになる。