この記事をまとめると
■タイヤ交換は基本的に人の手作業と機械の連携で行われている
■歴史を遡るとアメリカンチェンジャーからターンテーブル式へ進化した経緯がある
■近年は全自動型チェンジャーが登場し軽点合わせまで自動で行ってくれるものもある
トラックは乗用車よりタイヤの組み替えも大変
自動車が走るためにはタイヤが不可欠である。新車を購入すると、それはすでホイールに取り付けられた状態で手もとに届く。だからタイヤとホイールはほかの部品同様に、機械が工場で組み付けているのではないかと思っている人もいるかもしれない。確かにタイヤとホイールの組み付けには専用の機械が使われるのだが、そこには人間の操作や作業がかかわっており、決してロボットが行っているわけではないのである。
タイヤは消耗品だから、減ったり劣化したりすれば交換が必要になる。ホイールも交換は可能だが、タイヤの交換時期と一致するわけではない。ゆえに、タイヤだけを交換するために、タイヤ専門店やカー用品店を訪れるドライバーがほとんどだ。そこにはピットと呼ばれる作業場があり、タイヤチェンジャーに向かって作業員が、手際よくタイヤの組み換えをしている。
ピットで作業を行う整備士画像はこちら
タイヤチェンジャーは、電気とエアによって稼働するタイヤ交換(ホイールからの脱着)専用の機械だ。40年ほど前までは、通称「アメリカンチェンジャー」と呼ばれるタイプが主流であった。この機械はホイールを固定した状態で、専用のタイヤレバーが回転する仕組みになっており、1本あたりの交換時間がたいへん短かったのだ。
ところが、タイヤの偏平率が低くなってサイド部分が頑丈になり、人の力では押し込むことが難しくなった。そのため、ターンテーブル式に置き換わっていったのだ。このタイプはホイールをターンテーブルに固定して、アームに付いたツールヘッドをホイールの淵にセットし、テーブルを回転させてタイヤを脱着する。のちにタイヤのサイドウォールを押さえつけるプレスローラーが装着されたものも登場し、ホイールもタイヤのビードも傷つけることなく交換できるようになったのだ。
一般的なターンテーブル式タイヤチェンジャー画像はこちら
トラックタイヤは乗用車タイヤに比べて重量があるため、通常のタイヤチェンジャーのような横置きタイプでは、ターンテーブルまでタイヤ・ホイールをもち上げるのが作業員にとって大きな負担になっていた。ゆえに、大型タイヤ用のチェンジャーには、タイヤ・ホイールを縦にセットするタイプが存在する。
タイヤ・ホイールの移動は転がすことで可能だが、もち上げるのは重量があるから容易ではない。この縦置き型には、横置き型のターンテーブルにあたるヘッドが自在に動いたり、タイヤ・ホイールをリフトアップしたりできるものがあるので、重量があってもセットすることが簡単になっている。
トラック用の縦向きタイヤチェンジャー画像はこちら
さらに進化したタイプでは、機械にタイヤ・ホイールをセットするところからタイヤの交換終了までを全自動で行うタイプも登場している。機械には各種センサーが取り付けてあり、そこで得たデータをコンピュータが分析し、的確に交換作業を行ってくれるのだ。
ホイールバランスをとるときに重要な、軽点(タイヤの軽い部分を示す黄色い点)合わせができるという機種もある。これなら人間は、機械のセッティングと監視をしていればOKということになる。タイヤ交換の自動化は、すぐそこまで来ているようである。