ジウジアーロまで巻き込んだヒョンデの旧車掘り起こし計画! 単なる話題作りじゃないヒョンデのデザイン愛がスゴイ!! (2/2ページ)

ヘリテージ・シリーズの魅力とは

●過去に学び、将来に向けたインスピレーションを得る

 冒頭に紹介したグレンジャーも、その一環として制作されたワンオフモデルとなります。ご存じのとおり、初代グレンジャーは当時同社が提携していた三菱のデボネアと多くを共有する兄弟車で、押し出しの強い直線基調の堂々としたスタイルが特徴でした。

 あらためてそのボディを見ると、基本スタイルはほぼ踏襲されており、メッキを使った大型のグリルやプレスドアによって強固なイメージを打ち出したキャビン、ボディを1周する太く厚みのあるプロテクターなどはそのまま生かされています。

 ただ、ポニーと同様ボディの面質は変化していて、より直線基調を強く打ち出すシャープになったキャラクターラインと、硬さをも感じさせる平滑な面が特徴。フラットになったホイールもその平滑さを強調しているようです。

 このシャープなボディにマッチしているのが、ヒョンデのEVで展開されるピクセル表現のLEDランプ。面白いのは、この80年代的なボディも、新しいランプだけでかなり先進的に見えるところで、とくにテールランプは文字どおりレトロモダンなイメージです。

 一方、Newtro(New+Retro)をコンセプトとしたインテリアは、タッチ式スクリーンディスプレイなどの最新技術と、ベルベットのシートなど当時の雰囲気を融合させたユニークな表現に。外観に対し、運転操作そのものや常に目に入る内装に新しい技術を多用するのは、じつに理にかなった提案といえます。

 さて、このヘリテージ・シリーズはいったいなんのために展開されているのか。それはNewtroのコンセプトのとおり、過去の象徴的意義に注目し、将来のデザインに新たなインスピレーションを得るためで、たとえば先のポニーからIONIQ 5が生まれたことがその実例です。単に広告のために歴代車を引っ張り出すのではなく、実際のデザインに反映させるところがキモです。

 まあ、それでもいすゞの117クーペやマツダのルーチェが、ジウジアーロの手で現在に復活したら……と想像するだけでかなり楽しみなことではありますが……。


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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