市販化が近いことを予感させる内外装
■エクステリアにも提案が満載
エクステリアのデザインは基本的に2023年のカヨイバコからのキープコンセプトですが、まずパワーユニットのマルチ展開化によって、グリル部の窓がなくなりました。前席のサイドウインドウも形状が変わり、視界を広げるために前下がりになっています。これは乗員の肩部をドアパネルで守るようにという配慮も兼ねていて、オマケとして100/200系ハイエースの意匠に通じるものとなっています。
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また、後部のサイドウインドウがかなり薄く上寄りになっていますが、これは荷物の積載時に当てて割ってしまう心配を防ぐ目的によるものです。副次的に軽量化にも貢献しています。ちなみにこれも提案のひとつなので、後部シートを備えるバリエーションでは窓が広い仕様も用意できるとのこと。
また、この展示車両では前後のドアが両開きのピラーレスになっていて、両方開くと超広大な開口部が現れます。このまま出すには剛性など課題が残っているためまだ提案としての仕様ですが、実装を踏まえての提案であり、反響も大きいそうなので、実現の可能性はあると思われます。
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運転席のUI(ユーザーインターフェース)も見どころのひとつで、横幅いっぱいのディスプレイでは、左が速度など走行のインフォメーションを、中央はナビゲーション、そして左には配送時のタスクをリアルタイムで表示して、作業の効率化に貢献するように考えられています。
ステアリングはシンプルな造形ですが、ツール感のあるデザインにまとめられています。その前方のコンソール部の長円形が印象的ですが、これはほかのカヨイバコシリーズと共用できるモジュール・システムになっているそうです。前部には小物入れやトレイ、スマホホルダーなどが装着できるアタッチメントが備わっていました。
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まだまだ紹介しきれないほどの提案が詰め込まれたこのハイエース・コンセプトは、まさにトヨタがクルマづくりの基本理念としている「良品廉価」を地でいくシリーズだと感じられました。販売の発表が楽しみです。
■福祉向けの車両も展示
ハイエース・コンセプトの用途の展開例のひとつとして、いまも需要の増加が進んでいる福祉や地域のケア用途向け仕様の車両も展示されていて、こちらもかなり注目されていました。
前端までフルフラットの空間と両開きのドアを活かして、これまでにない構造でハンディキャップをもつ人やお年寄りの乗降をサポートする機構を搭載。
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バックドアはなく、奥の空間はクリニックのようになっています。一方には施術台にもなるシートが備わっていて、側面には大きなディスプレイを備えて、さまざまな情報やコンテンツを提供します。
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後部ドアにはポップスライド式の収納を備えていました。
ハイエース・コンセプト、もしもこのままの姿で実現したら、かなり楽しいクルマになると思いませんか? 続報に期待したい1台です。