やっぱり悪路「感」が重要! モデルチェンジで爆売れしたクルマの共通点とは

この記事をまとめると

■モデルチェンジを機に人気が爆発したモデルが存在する

RAV4やジムニーやクラウンが売れた背景にはSUV人気がある

■SUVはニーズに合ったクルマ作りをすれば売れ行きを効果的に増やすことが可能だ

モデルチェンジで人気を得たクルマ

 フルモデルチェンジを行って、人気が急上昇する車種もある。たとえば現行型のトヨタRAV4は、2019年に発売され、同年の登録台数は、1カ月平均で約4500台に達した。その後も好調に売れて、2020年1〜6月の登録台数は、前年同期の1.5倍に達している。

 現行RAV4は、国内市場を意識して開発された車種ではないが、前述のとおり売れ行きを急増させた。その理由の筆頭に挙げられるのはSUV市場の変化だ。近年はSUVの人気が高く、多くの車種が売れ行きを増やしている。しかも、トヨタ・ハリアーやトヨタ・ヤリスクロスのような都会的なSUVが膨大に登場した結果、反動によってランドクルーザーのような悪路向けのSUVが注目されている。RAV4はプラットフォームをハリアーと共通化していて悪路向けのSUVではないが、アウトドア指向が強く、外観も野性的だ。そこで人気車になった。

 同様の理由でスズキ・ジムニーの販売も好調だ。発売前の2017年の届け出台数は、1カ月平均で約1100台だった。それが現行型にフルモデルチェンジされると、生産が需要に追い付かず納期が1年以上に遅延した。そこで、数回にわたる増産を行い、2024年の1か月平均届け出台数は約3450台だ。ジムニーの売れ行きは、現行型になって3倍以上に増えた。SUVの原点に回帰した「ジムニーらしさ」が好調の秘訣だ。

 トヨタ・クラウンも増えた。フルモデルチェンジする前の2021年の登録台数は、1カ月平均で約1800台だったが、2023年は、ほぼクラウンクロスオーバーのみで1カ月平均が約3600台に倍増した。

 2023年に登場した先代三菱デリカミニは、実質的にeKクロススペースのマイナーチェンジ版だ。それでもデリカミニに切り替わってから、届け出台数が約3倍に急増している。先代デリカミニがたとえeKクロススペースのマイナーチェンジ版でも、フロントマスクを刷新して、4WDについては足まわりのセッティングやタイヤも変えた。車名も変更したことで、フルモデルチェンジと同等か、それ以上の販売テコ入れになった。

 以上のようにモデルチェンジを行って人気を高めた車種はSUVに多い。SUVは注目度の高いカテゴリーだから、ニーズに合ったクルマ作りをすれば、売れ行きを効果的に増やせる。とくにデリカミニは、いまの市場環境に対応することで、マイナーチェンジながら販売を急増させた。投資対効果の大きい改良であった。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
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13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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