成功か失敗か? フルモデルチェンジで「コンセプト」を「激変」した国産車6選 (1/2ページ)

時代によってコンセプトが左右されたモデルも存在!

 クルマは継続されればフルモデルチェンジを重ねる商品である。そのため、フルモデルチェンジされてもコンセプト(開発思想)やターゲットユーザーが変わらないものと、対照的にフルモデルチェンジでこの2つが大きく変わるものがある。今回はコンセプトが大きく変わったモデルをピックアップしていこう。

1)トヨタ・クラウン(先代14代目と現行15代目)

 クラウンは日本で最も伝統ある高級セダンである。こういったクルマが世代を重ねると陥りやすいのが、ユーザーの高齢化だ。クラウンもこの問題を打破すべくゼロクラウンと呼ばれた12代目モデルで一気に若返りをおこない成功したのだが、先代の14代目モデルまでにまたユーザーの高齢化が進んでしまった。

 という背景もあり2018年登場の現行型15代目クラウンは、機能面では新世代のTNGAプラットホームやコネクテッド機能の採用、6ライトのクーペルックのスタイルなど、クラウン史上もっともスポーティかつ若々しいモデルとなった。

 しかし、この変革が受け入れられないクラウンユーザーもいるほか、スポーツ性を求めるユーザーはクラウンに価格の近いメルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズに流れる傾向もあり、現行型15代目クラウンは苦戦気味に見える。この結果を見ると、次期クラウンをどういった方向にするのかは非常に難しいところなのかもしれない。

2)トヨタ・セリカ(6代目と最終7代目)

 セリカは現在ならトヨタ86&スバルBRZに相当するミドルクラスの3ドアクーペである。しかし世代を重ね、セリカはボディサイズの拡大や鉄製ブロックの2リッター直4エンジンの搭載など、手軽さを失いつつあるのも事実だった。

 さらに7代目セリカが登場した1999年という時代は若者が携帯電話やパソコンを持つようになったころで、クルマに使えるお金も減りつつあった。という時代背景もあり、7代目セリカはボディサイズを若干縮小し、エンジンも当時最新の軽量なアルミブロックの1.8リッターとするなど、セリカとレビン&トレノが統合されるという事情もあり、価格も下げたライトな3ドアクーペとなった。

 このコンセプトはいまになると「なるほど」とも感じるのだが、当時はクルマに絶対的な速さが求められる時代だったこともあり、ライバル車のホンダ・インテグラに速さで劣るなど、セリカのよさはあまりクローズアップされず、残念ながら7代目モデルを最後にセリカは絶版となってしまった。

3)日産スカイライン(9代目と10代目)

 スカイラインは9代目までコンセプトが頻繁に変わるクルマではあったが、「直6エンジンを搭載した日本人向けのスポーツセダン&クーペ」という点は基本的に普遍であった。しかし21世紀を前にした1998年に登場した10代目モデルの時点で、このコンセプトに古さを感じ、「日本でしか通用せず、その日本でもそういったクルマに対する需要が減少している」というのは否めなかった。

 さらに当時日産は経営が大ピンチだったため、1999年にはルノー傘下&カルロス・ゴーン体制という大変革があり、9代目スカイラインも登場からたった3年後の2001年10代目モデルにフルモデルチェンジされた。10代目スカイラインは「V6エンジンをエンジンルームのなるべく後方に搭載し、重量配分を適正化した新しいFMプラットフォームを使ったスポーツセダン&クーペ」という9代目モデルまでとはまったく違う国際的なクルマとなった。日産自体と同様のこの大変革には当時反対意見が多かった。

 しかし、10代目スカイラインもそれまでのスカイラインと同じもしくは近いコンセプトだったら、今ごろスカイラインはなくなっていただろう。また10代目スカイラインで登場したFMプラットフォームは拡張性が広く、スポーツカーのフェアレディZやSUVのインフィニティEXなどにも対応したものだったこともあり、比較的少ない投資で日産に大きな利益をもたらしており、この2点からこの時のスカイラインの大変革は正しかったと言わざるを得ない。


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