成功か失敗か? フルモデルチェンジで「コンセプト」を「激変」した国産車6選 (2/2ページ)

コンセプトがコロコロと変わりながらも失敗しない珍しいモデルも

4)ホンダ・インサイト(初代、2代目、現行3代目)

 初代インサイトはアルミボディの採用による軽量化や徹底的な空気抵抗の低減をおこなった車体と、簡易なハイブリッドの搭載による低燃費を追求した3ドアクーペのハイブリッドカーとして1999年に登場。しかし、普遍性のないクルマだったこともあり2006年に絶版となった。

 2代目インサイトは2009年に2代目フィットベースの5ナンバーサイズとなるハイブリッド専用の5ドアセダンとして復活。登場直後は価格がリーズナブルだったこともあり月間販売台数ランキング1位にもなったのだが、登場3カ月後に装備内容やボディサイズなどを考えるとインサイト以上にリーズナブルで燃費も上まわる3代目トヨタ・プリウスが登場すると販売は急降下し、2014年にはまた絶版となってしまった。

 しかし、インサイトは2018年に3ナンバーサイズのシビックの高級かつハイブリッド版的な4ドアセダンとして再び復活。3代目インサイトは内容こそ悪くないのだが、価格が割高なこともあり、販売はすでに低迷。3度目の絶版にならないか、今から心配だ。

 また、歴代インサイトで共通なのはハイブリッドということだけで、コンセプトに共通性はなく、この点もちょっと考えものなのかもしれない。

5)ホンダ・オデッセイ(2代目と3代目、3代目と4代目、現行5代目)

 オデッセイの初代モデルは当時珍しかった乗用車ベースのミニバンとして1994年に登場。このコンセプトは新鮮だったうえに、初代オデッセイは価格が安かったこともあり大ヒットを収め、当時ピンチだったホンダの立て直しに大きく貢献した。1999年登場の2代目モデルはキープコンセプトで、クルマ自体の出来はよかったのだが、ホンダのクルマとしては保守的というイメージが強かったのか、初代モデルほどは売れなかった。

 そのため3代目モデルは「全高をタワーパーキングもOKな1550mmに抑えながら、キャビンは7人が十分乗れ、走りはスポーティ」というミニバンに移行し、登場から3年ほどは好調に売れた。しかしこのころから乗用車に近いミニバンへの需要が減少したこともあり、2008年登場の4代目モデルはキープコンセプトで様子を見たモデルとなった(クルマ自体の完成度自体は非常に高かった)。

 といった背景もあり、2013年登場の現行型5代目モデルは4代目オデッセイとラージミニバンのエリシオンを足して2で割ったような、統合したモデルに移行。このコンセプトは価格も含めれば絶妙なところもあり、登場から数年は堅調に売れた。最近はモデルが古くなってきたこともあり販売は低迷しているが、間もなく登場するビッグマイナーチェンジモデルで盛り返すだろうか。

6)マツダ・デミオ(2代目、3代目、現行型4代目)

 デミオの初代モデルは既存のモデルの基本コンポーネンツを使った手軽なハイトワゴンというコンセプトで1996年に登場。初代デミオは決して出来のいいクルマではなかったが、コンセプトの新鮮さと価格の安さで大ヒット車となり、当時経営の苦しかったマツダにとっては孝行息子だった。2002年登場の2代目デミオはキープコンセプトで完成度を高めたモデルで、こちらも成功を収めた。

 2007年登場の3代目モデルは「広さを追求しないコンパクトカー」というコンセプトで、こちらも価格の安さとスタイルのよさで好調に売れた。

 そして2014年登場の現行型4代目デミオは「広さを追求しない」というのは3代目デミオと同じだが、全体的なクオリティの高さを追求したモデルとなり、こちらもいまだに販売は堅調だ。デミオ(MAZDA2も含む)はコンセプトがコロコロと変わりながらも失敗はしていないという珍しいモデルである。


新着情報