日本における三菱の顔は間違いなくデリカD:5! フルモデルチェンジせずともずーっと売れ続ける怪物ミニバンの秘密 (2/2ページ)

三菱だからこそ可能なモデル戦略

 大型ミニバンでは断トツに売れているトヨタ・アルファードの2025事業年度締め上半期累計新車販売台数は3万9849台(月販平均約6641台)となっているので、デリカD:5の販売ボリュームを見れば、他メーカーが「ではウチも」とライバル車を出してくるような動きは想定できないが、仮に他メーカーがデリカD:5と被るようなキャラクター、つまりSUVテイストをもったミニバンを出してきても不発に終わる可能性が高い。

 それはなぜかといえば、三菱自動車にはかつてパジェロという日本を代表する本格SUVが存在し、さらに三菱自動車の商用バンであったデリカの3代目ベースの乗用車版となるデリカスターワゴンや、その後継となる2代目パジェロベースのデリカ・スペースギアの4WDモデルが爆発的に売れ、その後継としてのデリカD:5、という系譜があるためだ。だからこそ他メーカーはなかなか手が出せないカテゴリーといえよう。

 ミニバンが日本より先に普及したアメリカでは、そのニーズは3列シートをもつクロスオーバーSUVへと移行している。そのおもな理由が、ミニバンでは生活臭が強すぎるというものである。日本ではまだまだミニバン人気は高いものの、やはり生活臭の強さは否めない。ラグジュアリーミニバンとも表現できるアルファードでも、現役子育て世代のファミリーカー需要のほか、「孫を乗せて3世代でドライブに行きたい」というお年寄り世代など、リムジンサービス需要のほかはファミリーニーズが需要の中心となっている。

 そのなか、子どもや奥さんの希望を聞けばミニバンという選択が外せないとなると、「お父さんのちょっとした抵抗」みたいなものでデリカD:5を購入検討に加えたり、実際購入するひとも多いものと考えている。三菱自体がコアなファンの多いブランドなので、デリカD:5を乗り換え続けるひとも多いだろう。

 また、「パジェロの三菱だから」、そんな気もちで選ぶひともいるだろう。現状パジェロは終売状態であるが、そのパジェロ復活も最近では噂されるようになってきている。トヨタやホンダ、日産のような量販ブランドではないのが三菱自動車。そんな三菱自動車はマツダやスバルのように、「らしさ」で勝負するという道を選んでいるのは間違いない。

 デリカD:5は販売されていないものの、アメリカにおける2024暦年締めでの三菱自動車の総販売台数は10万9843台(国内販売は軽自動車7万3979台を加えて11万9501台/登録車のみでは4万5522台)となっている。南カリフォルニアをウロウロしている筆者だが、筆者が知っている三菱自動車ディーラーは1カ所しかない。そんななかでもアウトランダーは非PHEVが多いものの意外なほど街なかで見かけることができる(アメリカでの2024暦年における年間販売台数は5万2228台、そのうちPHEVは6975台/PHEVのみの日本では8126台)。

 東南アジアではコンパクトMPVとなるエクスパンダーシリーズやコンパクトクロスオーバーSUVとなるエクスフォースなどが大ヒットしている三菱自動車。「らしさ」を失わないクルマづくりの旗頭がデリカD:5なのかもしれない。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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