【試乗】高級感たっぷりで燃費がよくて悪路にも強く災害時も活躍! おまけに走りも楽しいアウトランダーPHEVはクルマの理想の姿そのものだった (3/3ページ)

乗って感じたアウトランダーPHEVの魅力

●中谷明彦のドライブインプレッション

 市街地道路での走行では、まずEVモード主体の走りがこのクルマの本質を端的に示している。発進から低中速域にかけてはモーター駆動のみで完結する場面が多く、アクセル操作に対するレスポンスは極めてリニア。トルクの立ち上がりが滑らかで、交通量の多い都市部でも不要な緊張を伴わない。回生ブレーキの制御も自然で、停止直前まで減速度が安定しており、同乗者への不快感を抑えた減速フィールが印象的である。

 一般道においては、車重2100kg級の車体を感じさせず、質感の高い落ち着いた走行フィールが際立つ。S-AWCによる前後トルク配分と回生ブレーキ制御が常に姿勢を安定させ、荒れた舗装路や中速コーナーでもステアリング修正を必要としない。サスペンションは路面からの入力を的確にいなし、上下動の収束が早い。SUVでありながら、まるでプレミアクラスのセダンとしても成立するような快適性とシャシー制御技術が高次元で融合しているのがわかる。

 高速道路では、シリーズハイブリッドおよびパラレルハイブリッドを状況に応じて切り替える制御が効果を発揮する。合流時の加速ではモーターによる瞬時のトルク供給が利き、バッテリー充電量が十分であればエンジンを始動させることなく最高速までストレスなく到達できる。SOC(「State of Charge[充電状態]」の略で、バッテリーに現在どれくらいの電力が残っているかをパーセンテージで示す指標)が低下していてエンジンが発電機として始動しても回転上昇は穏やかで、不快なノイズや振動は完璧に抑えられている。巡航時はエンジン回転数が低く保たれ、静粛性の高さが長距離移動での疲労軽減に寄与してくれるのだ。遮音ガラスの採用や、NVH対策(Nは騒音=ノイズ、Vは細かい振動=バイブレーション、Hは凹凸を通過したときの振動や衝撃音=ハーシュネスを意味する)が施され、静かで快適そのもの。

 直進安定性は高く、車線変更時のヨー挙動も穏やか。前後モーターを活用した四輪制御により、横風の影響を受けにくく、高速域でも安心感のある操縦性を示す。路面のアンジュレーション、轍に影響を受けることもなく、安定して走れるのは三菱の四輪駆動車ならではの特徴なのだ。

 乗り心地はしなやかで、サスペンションは路面からの入力を丁寧にいなす設定。市街地の荒れた舗装から高速道路の継ぎ目まで、不快な突き上げは感じられない。静粛性も高く、EV走行時はもちろん、エンジン作動時でもロードノイズや風切り音はよく抑え込まれている。結果としてキャビン内は常に落ち着いた空間が保たれていた。

 燃費性能はWLTCモードで17.217.6km/L(グレード別)とされ、EV走行距離との組み合わせにより、実使用での燃料消費を大幅に抑えることが可能である。EV走行の質、四輪駆動の安定性、そして実用性の高さを同時に成立させている点が、このアウトランダーPHEVの最大の価値である。

●深山幸代のナビシートインプレッション

 初めて対面したアウトランダーPHEVは、「四駆の大きなSUV」という男性的で力強いイメージ。ハードな道もグイグイと走り抜けるのだろう、と想像していました。正直、内装の華やかさや上質さには期待していなかったのですが、実際に乗車して、その印象はいい意味で覆されました。

 助手席に乗って、まず一番に気付いたのはその静かさです。エンジン音がほとんどない穏やかな空間でとても快適。また、シートの座り心地も良好で、体を包み込むような安心感があります。視界もとてもよく、助手席からも周囲の状況がしっかり確認できるため、終始リラックスしてドライブを楽しむことができます。

 運転から解放されている助手席は、窓からの景色だけでなく、内装の細部にも自然と目がいきます。インテリアは、上質なのに華美すぎない落ち着いたトーンでまとめられていて気分が上がります。

 インパネまわりやドアの内張りには、クッション性のある素材が使われ、丁寧なステッチが施されています。特徴的なキルティング加工が施されたシートデザインも相まって「良いクルマに乗っているな」という満足感を、同乗者にも感じさせてくれます。

 静けさ、快適なシート、そしてエレガントなインテリア。細部まで工夫が詰まったアウトランダーPHEVは、男女問わず、毎日の移動を少し贅沢な時間にしてくれると思います。


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