のちの大ヒットモデルに繋がる1台
無論、Z1を名乗るからには上下スライド式のドアも欠かせないエレメント。樹脂製コンセプトモデルといえども、そのディテールはしっかりと継承されています。BMWはこのドアを採用するにあたって、ドイツ国内の安全基準さえ変えさせた経緯がありますから、テヒニクにとっても命題中の命題だったことやぶさかではなかったはず。
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そして、リヤエンドに注目すると、大きなウィンドウにZ1と似通ったエンドの処理がなされていることがわかります。このあたりはツーリングシリーズにも似た機能性がうかがえるもので、レンジローバーのように上下スプリットだったりしたら最高! だったのではないでしょうか。
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レンジローバーといえば、Z1クーペはなんと4輪駆動とするアイディアも盛り込まれていました。ロードスターに比べて車高が上げられ、ホイールハウスの隙間も4駆のそれにほど近いもの。また、ロードスターと同じくAピラーに付けられたミラーには、スポットランプ、さらにはルーフレールまで装備となれば、もはや荒野を駆け巡るのは決定かと。実際、このアイディアはテヒニクも自信があったと見え、4年後には4輪駆動のロードスター「Z18コンセプト」まで発表しています。
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残念ながらコンセプトモデルで終わってしまったZ1クーペですが、このDNAはしっかりと受け継がれました。ずばり、Z3クーペはZ1からZ1クーペの流れから生まれているのは間違いなく、クーペの4輪駆動もいまやBMWのお家芸、つい最近ではスピードトップといったシューティングブレークまで生まれています。
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いずれも、BMWテヒニクの貢献がなければ生まれていなかった、あるいはヒットもしなかったはず。これからも、彼らが発信するアイディアはBMWファンならずとも見逃すわけにはいかないでしょう。