オートバックスにはスゴ腕チューナーが潜んでいた! 3台のデモカーをドリキン土屋圭市がサーキットで徹底チェック!! (2/2ページ)

ドリキン土屋圭市がサーキットでインプレッション

 もう1台は、スーパーオートバックス浜松の看板デモカーであるRZ34ことフェアレディZ。オートバックスASM横浜と共同開発したドライカーボンボンネットをはじめ、エアロやボディ補強、サスペンション関連など、オリジナルパーツを多数装着し、足まわりにはA PIT東雲のデモカー同様にハイパーマックスGATE SPECを装備している。既に完成の域にあるチューニングカーといっても過言ではないほど、細部が煮詰められている1台だ。

 しかし、今回のテストに向け、更なるバージョンアップを図ったと聞いて、まだ改善の余地があったかと驚かされた。スーパーオートバックス浜松はECUチューンに定評があるが、その中心スタッフである鈴木英二氏に、このZのアップデートについて尋ねると、エンジンパワーは500馬力を突破し、それにあわせて各部を見直したという。

「マフラーとECUだけだと純正+100馬力くらいでしたが、HKSのメタルキャタライザーを追加してECUを詰めて、パワーは510馬力、トルクは75kg-mを達成しました。それに合わせて、足まわりもバランスをとるためにバネレートなどを変更しています。以前はフロント12kg/リヤ11kgでしたが、今回はテスト仕様として前後とも14kgとしています」

 Z33から歴代Zを継続的にチューニングしてきた経験を活かし、ボディにもオリジナルの補強パーツを用意。「リヤタワーバーをはじめ、サイドバーとシートベルトバーを装着しています。開口部の大きいクルマなので、補強の効果ははっきり出ますね。ハコを固めて、足をしっかり動かしてやるのが狙いです」

 また、高出力化に対応し、駆動系にもメスが入った。「純正のLSDは、踏んでいくとデフの作用が出ますが、イニシャルトルクがほぼかかっていなくて、直進やブレーキング時にはリヤのトラクションが出にくいんです。そこで、イニシャルをしっかりかけてクルマを安定させることで、普段乗りもサーキットも不安なく楽しんでもらえるセットアップにしました」と語る。

 結果としてこのZは、ストリート仕様を基本にしながら、サーキットでも不足のない、万能性の高いチューニングカーに仕上がった。「大人のスポーツカーであるZの完成度を高めるのがコンセプトですが、サーキットを走るお客様も増えてきたので、それも踏まえてセッティングを検討しました。ステアリングスイッチでブースト圧を切り替えることもできるので、ストリートでは扱いやすく、サーキットでは速さを楽しむ、というような使いわけをしていただけます」

 この、各ショップが力を注いだデモカーの仕上がりをチェックするべく、ステアリングを握ったのが、ドリキン(ドリフトキング)ことARTAエグゼクティブ・アドバイザーの土屋圭市氏。レースでの実績はいうに及ばず、国内外のパフォーマンスカーやチューニングカーの開発・テストにも数多く携わってきた経験が生きる、車両へのアドバイスは的確を極める。ドリキンに太鼓判を押してもらえば、自信をもって世に送り出せるといっていい。

 まずはA PITオートバックス東雲のGRヤリス。周回を終えてピットインした土屋氏は開口一番「乗りやすい」。サーキットでは「タイムアタックするなら、もうちょいリヤを固めて、オーバーステアを消して落ち着かせたほうがいいかな」とのことだが、「ストリートならこっちのほうがいい。乗り心地もいいし、跳ねないしね」。もちろん、減衰力は調整可能。用途に合わせてセッティングを探るのも、車高調キットの楽しみのひとつだ。

 続くシビック タイプRは「なかなかいい」との第一声。エンジンはECUチューンで約70馬力アップとのことだが、「扱いやすいね。これだけトルクがあると、ヘアピンも2速に落とさないで3速のまま行けちゃう」。続けて開発中の足まわりは、「穏やかでいいね。ポコポコ跳ねないから走りやすい。ストリートからサーキットまで、トータルなバランスがいい感じ」という、まさにハイパーマックスGATE SPECの狙いどおりの評価を得られた。

 さらに、シビック タイプRは開発中のドライカーボン製タワーバーの効果も検証。脱着して乗り比べたところ「あってもなくてもオーバーは出るんだけど、その大きさが変わる。装着するとゼロカウンターくらいで立ち上がれるよ」。ちなみに土屋氏は「オレなら付けたいな。ミスをできるだけ少なくできるほうがいいからね」とのこと。もともとボディ剛性が高いだけに、絶大な変化を求めるのではなく、走りの好みに合わせてセッティングアイテムとして有効に使えそうだ。

 そして、スーパーオートバックス浜松のZ。「これは乗りやすいわ。エンジンは500馬力オーバーっていうけど、危ない出方じゃなくて扱いやすいハイパワーだね」。足まわりは「バネレートが前後14kgって聞いてどうなの? って思ったけど、ぜんぜん跳ねないし、こんなに乗り心地がいいとは。しっとりした大人の味付け」と絶賛。「怖いところがないね。昨年も試乗してよくできていると思ったけど、さらに進化してるね」

 オートバックスでは、チューニングアイテムを日々意欲的に開発中だ。その成果は年明けの東京オートサロン2026、そして大阪オートメッセ2026で披露される。愛車のパフォーマンスアップを目指すユーザーは、ぜひとも会場でチェックしてほしい。


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