高級セダンなのにバカッ速! ベントレーが氷雪路でみせた圧巻のパフォーマンスとは?

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ベントレーが世界最北のレーストラックでウインターラップレコードを樹立

■ベントレーはこれまでにもさまざまなウインター・ラップレコードへの挑戦を続けてきた

フライングスパー・スピードが「ドライブセンター・アリーナ」を2分58秒で駆け抜けた

フライングスパー・スピードでウインターレコードを樹立

 北極圏までの距離はわずかに約160km。北緯65度6分50.5秒、東経20度45分26.1秒という極北の地にある世界最北のレーストラック、「ドライブセンター・アリーナ」で、ベントレーが2025年12月11日(イギリス現地時間)、ウインター・ラップレコードを樹立した。

 スウェーデンのフェルフォルスに位置するこのサーキットは、かつては軍用の航空基地として使用されていたもので、それを改修することで全長が4235mのロングトラックと、3370mのショートトラックを使いわけるサーキットが誕生した。今回ベントレーが約30cmの氷雪で覆われたコンディション下でラップタイム記録に挑んだのは後者のほうで、そのため最長のストレート区間も450mしかないという条件。ベントレーはこの挑戦のために、スタッド付きの21インチ径ウインタータイヤを装着した「フライングスパー・スピード」を用意。それ以外の仕様はノーマル車と変わらない。

 ベントレーはこれまでにも、さまざまなウインター・ラップレコードへの挑戦を続けてきた。2007年と2011年にはいずれも凍結したフィンランドの海上で、ラリードライバーのユハ・カンクネンによってスピード記録を達成。ちなみに2007年には321.65km/hを、当時のコンチネンタルGTをベースに製作された「アイススピード・レコードGT」で、また2011年には「コンチネンタル・スーパースポーツ・コンバーチブル」で330.695km/hの最高速記録を樹立している。

 今回のドライビング・センターでのチャレンジは、その2度のアイススピード記録樹立、そして1986年にイギリスのミルブルック・テストコースでターボRが達成した1時間耐久記録、平均スピード224km/hにインスパイアされたものだとベントレーは説明する。

 現在もベントレーのヘリテージセンターに所蔵されている、そのターボRと同様にブルックランズ・グリーンのボディカラーにペイントされ、イエローのピンストライプ、またインテリアではリネン・カンブリアングリーン・オープンポアウォールナットが採用されたフライングスパー・スピードは、ベントレーが誇る極めて高い動力性能と環境性能を両立させた4ドアサルーンだ。

 搭載されるエンジンは3996ccのV型8気筒ツインターボで、その最高出力と最大トルクは600馬力、800Nmという数字。これに同じく190馬力、450Nmのエレクトリックモーターを組み合わせ、システム全体では782馬力の最高出力と1000Nmの最大トルクを誇る。参考までにスペックシート上の0-100km/h加速は3.5秒、最高速は285km/hとされる。

 シャシーでは、ベントレー・ダイナミックライドや後輪操舵、電子制御式のLSDなどを装備した、ベントレー・パフォーマンス・アクティブ・シャシーの搭載が大きな話題で、さらにこのシステムには最新世代のESCも含まれるが、今回のラップタイム記録への挑戦では、このESCの機能はカットした状態で行われている。センターデフを介した前後輪のアクティブトルクベクタリングと、各輪のブレーキを精密に作動させることによる左右輪のトルクベクタリングの優秀さは、このようなウインター・ラップレコードでは的確にそれが証明されるだろう。

 そしてベントレーは、この過酷な条件下で2分58秒という、冬季条件下における同サーキットのラップタイム記録を見事に更新してみせた。前で触れた短いストレート区間で達成された最高速は約193km/h。それはこれからもベントレーのウインターレコード挑戦の歴史を語るうえで、欠かすことのできない記録であり、そして記憶となるに違いない。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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