この記事をまとめると
■建設機械メーカーの加藤製作所が中学生の職場体験を受け入れた
■加藤製作所にとって職業体験の受け入れは中学生に自社をアピールする絶好の機会となった
■若者には職業体験を通じて仕事を知ることで選択肢と可能性を広げてもらいたい
建設機械メーカーが中学生を対象にした職場体験
建設機器メーカーの加藤製作所が、2025年秋に地元中学生の職場体験を受け入れた。いまではすっかり定着した感のある中学生の職場体験だが、昭和世代には馴染みがない。それもそのはずで、原形となる企画が提案・実行されたのは、1990年代前半であったといわれている。
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当初は進路指導の一環と位置付けられていたようだが徐々に整備され、現在では文部科学省が「職場体験ガイド」を作成するに至っている。それによると、さまざまな理由により子どもたちの社会性低下が進むなか、勤労観・職業観を育成することで社会的自立を促す必要があり、その教育の一環として職業体験を位置付けているのである。
たいていは学校の授業が行われている学期中に日帰りで実施されるため、校区近隣の事業者に受け入れを依頼することが多い。ちなみに、高校や大学の学生が企業を体験するインターンシップも、当初は職場体験と似たような趣旨であったという。しかし、現在では企業が学生を採用するための囲い込み、あるいは学生が就職を希望する企業に対してアピールするためのイベント、といった色合いが強くなっている。そのため、職業体験というよりは、就職活動のひとつとして位置づけられるようになってきた。
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今回、東京都品川区内の中学2校を受け入れた加藤製作所は、大手有名メーカーではあるが、中学生に知名度が高い会社とはいい難い。また、製品である建設機械についても興味をもつ生徒は多いが、実際に触れる機会はほとんどないのだ。要するに、同社にとって職業体験の受け入れは、中学生に自社をアピールする絶好の機会といえるのだ。
とはいえ、高校進学率が高くなった現在では、中学生が直接的な企業戦力予備軍になるというわけではない。ただ、この時期に体験したことが、将来の進路選択に何らかの影響を及ぼすことは間違いないといえよう。もちろん、中学生の教育に寄与することや地域社会に貢献するなどといった、CS(企業の社会的責任)的側面があるのはいうまでもないことだ。
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同社が実施した職場体験の主な内容は、以下のとおりだ。
・若手設計者との対話
→製造業のキャリア形成について実際の経験に基づいた話を聞く
・ショベルカーに実際に乗り込んで操作
→普段触れることのない建設機械を実際に動かす体験
・パスタを使って橋の模型を作る
→「設計とは何か」ということやものづくりの楽しさを学び、クリエイティブな思考を養う
また、同社ではこの職業体験を行う意義について、
・単なる見学ではなく、実践的な学びの場とする
・中学生が将来のキャリアを考えるきっかけにする
と考えている。参加した中学生に多くの刺激を与えることで、その経験が彼らの未来に役立つことを期待しているのだ。
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職業体験は基本的に地元企業が受け入れるために、カーメーカーの本社や工場がある地域では、以前から職業体験を実施している事業者も多い。建設機械のオペレータだけではなく、バス・トラックの運転手不足が深刻化しているが、職業体験を通じて仕事を知ってもらえれば、就職を考える上で選択肢のひとつに入ってくる可能性がある。
未来ある若者には、ぜひ多くの経験を重ねて可能性を広げてもらいたいものだ。