この記事をまとめると
■欧州委員会が「2035年からのICE車の新車販売禁止」という方針を撤回した
■ヨーロッパ全体で見てもEVの普及率はそれほど高くないのが実情だ
■世界各国ではEV関連で混乱が見えるなか日本は現状それほど目立った混乱は起きていない
早くもICE車の新車販売禁止に暗雲が
2025年12月16日、欧州委員会がかねて表明していた2035年からのICE(内燃機関)新車の販売を禁止するという計画を、撤回する方針を発表したというニュースが駆け巡った。
すでに、2035年よりICE車の新車販売を全面禁止するのではなく、2023年にはeフューエル(合成燃料)などの使用を条件に2035年以降もICE車の販売が、かなり限定的ながら認められており、実質的な禁止というのが背景にあった。しかし今回は、さらに2035年以降も販売継続できるICE車の条件を緩和しただけであり、撤回という表現に違和感を覚えるとの声もあるが、2035年までには10年ほどまだ余裕がある。2021年に2035年以降ICE車販売禁止を発表し、それからたった5年ほどで骨が抜け始めている。「2035年へ向け、さらに骨抜きにされていくのではないか?」という声も少なくない。
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一方中国は、「ICE車では、西ヨーロッパや日本、韓国などの自動車メーカーをいつまでも追い続けることになる」として、いち早くBEV(バッテリー電気自動車)の開発を自国メーカーに奨励し、BEVで世界の自動車産業の覇権を握ろうとしている。西ヨーロッパでは、燃焼効率に優れ、環境や燃費性能に優れるICEを有する日本車憎しから、BEVに西ヨーロッパメーカーが前のめりになったとするのが、一般的な見方となっている。
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ヨーロッパ各国におけるBEV販売比率をみると、ノルウェーが94%と突出しているものの、オーストリア22%、ドイツとフランスが18%、イタリア5%、スペイン8%、そしてEU非加盟となるがイギリスが22%、スイス21%となっている。旧東ヨーロッパ諸国では軒並み4~8%で推移している(ちなみに日本は1.35%/中国はプラグインハイブリッド車含めて約48%)。
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つまり、大騒ぎしているわりには、一部を除くとそれほどBEVが高い普及を見せているわけでもない。むしろ、ドイツのニュースで「ドイツ人はBEV嫌い」というのを聞いて、筆者は驚いたことを記憶している。ドイツ系メーカーではBEVに必要なパーツの多くを中国に依存していて、BEVを作れば作るほど中国を利するというジレンマに陥っているといった報道を見たこともある。