【試乗】待望のグランカングーがやっと日本で発売! 7人乗りの使い勝手と極めつけのオシャレさで案の定最高だった (2/2ページ)

長いボディでフランス車らしさまで向上!

 けれど、使い勝手がいいだけでは、カングーのファンは満足しない。当然ながら走りはどうなのか、気になってることだろう。車重が120kgも重くなり、ホイールベースが390mmも伸びてるのだ。間違いなく変化してるだろうことは簡単に予想がつく。

 おそらく、ファンの人たちにとってもっとも気がかりだったのは、パワーユニットがお馴染みの1.3リッター直4ターボ+7速DCTのままであることだろう。5人乗りカングーを元気よく走らせる定評ある組み合わせではあるけど、重くなったグランカングーにはもの足りないんじゃないか? と、気もちは察する。

 でも、僕はそれほどパフォーマンスが落ちてるようには感じられなかった。パワーは131馬力と必ずしも強力とはいえないが、トルクが240N・mある。低回転域から自然吸気2.5リッター並みの豊かなトルクを発揮してくれて、気もちよくシュルシュルと加速してくれる。そのテイストは5人乗りと変わりない。7人のフル乗車となったら少しは緩慢に思えるかもしれないが、ひとりで走らせてる分には不満らしい不満は湧いてこなかった。

 一方でホイールベースが伸びたことによる影響はどうかといえば、MPVであることを考えたら大いにプラスだ。まず直進安定性。5人乗りカングーだって決して悪くはないのだけど、グランカングーはさらに良好。気もちよーくまっすぐ進む。それにクルマの動きも全体的にちょっとばかりしっとり感が増した印象で、フラットで優しい乗り心地もさらに上質になったように感じられた。いわゆる“フランス車らしさ”のようなものも、さらに濃厚になったといっていいだろう。

 ハンドリングについては微かにスロウになったかと感じた瞬間もあったけど、ステアリング操作に対して自然に素直に正確に気持ちよく曲がってくれる。5人乗りと同じベクトルの上にあって、適度にロールを抑えつつもしっかりと腰を粘らせて、不安感なしにコーナーをクリアしてくれるのだ。重量増とホイールベース延長に僕はネガティヴなものを感じなかった。有り体にいえば、気に入っちゃったのだ。

 グランカングー・クルールの価格は、5人乗りより40万円高い459万円。国産の高級ミニバンに近い価格帯に入った。けれど、そうしたモデルたちと戦う意志がまったくなくて、ギラついたりオラついたりせず、シンプルに優しくヒトに寄り添ってくれるのがカングー/グランカングーのいいところ。できることはほぼ一緒だけど、世界観は真逆といえば真逆のところにあるのだ。どちらを選びたくなるかは人それぞれだろうけど、肩の力がスッキリ抜けてるようなこのフレンチMPVのほうが、僕は好きだ。


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嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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