この記事をまとめると
■ホイールの「インセット」はリム中心から取付面までの距離を示す数値である
■数値が大きいほどホイールは車体内側へ入り、近年のクルマは大きい傾向にある
■見た目のツライチ化だけでは走行性能のメリットは限定的とされる
ホイール選びは見た目だけでなく構造の理解も重要
ホイールのサイズを示す「18✕10.0J 35」のような表記。この最後の数字がインセットと呼ばれるものだ。これにはどんな意味があるのだろうか。
インセットは、ホイールのリム幅の中心から何mm取り付け面がズラされているかを示している。上記のホイールの場合、10.0Jは254mm。この真ん中となると127mm。インセットが0のホイールだったら、内側のリムから127mm、外側のリムからも127mmの位置にディスクの取り付け面がある。この面がクルマに取り付けられる。
インセットが10mmだったら、外側リムから117mm、内側のリムから137mmのところに取り付け面が来る。数字が大きくなればなるほど、ホイールのディスク面はボディ内側に入ってくる。従って、ツライチにしたいなら純正ホイールよりもインセットの数値が小さいホイールサイズを選ぶことになる。
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このインセットは以前オフセットと呼ばれていたものと同じだ。+が付けられるのが一般的で、+20よりも+10のほうがホイールは外側に出てくる。そして、取り付け面がリム幅の中心よりもボディ側になると−となる。マイナスインセットはホイールが大幅に外側に出てくるので、ワイドボディにしたクルマなどに使われる。
ではなぜ、このインセットが付けられているのか。とくに最近のクルマはインセットの数字が大きな傾向にある。その理由は自動車メーカー側でできるだけサスペンションアームを伸ばして、ホイールの取り付け面を外側に出したいからである。
サスペンションアームは、長いほどストロークしたときのアライメント変化を小さくすることができる。アームが短いとストロークしたときにキャンバーが大きくついたり、トーインが大きくついたりする。そうなるとハンドリングへの影響が大きい。サスペンションが沈んだときにハンドリング変わってしまいやすいのだ。
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そこでホイールのインセットを大きくして、そのぶんだけアームを伸ばしてアライメント変化を抑制し、安定したハンドリングを得たいのだ。
チューニングでもワイドボディ化してホイールのインセットを小さくしたり、ワイドトレッドスペーサーを入れたりしてトレッド幅を広げるが、じつはその効果が完全に発揮されているとはいえない。ハブ面の位置は同じなので、ステアリングを切ったときの中心点がタイヤの中心からズレてしまう。アウト側のタイヤは前方向に動き、イン側のタイヤは後ろ方向に動いてしまう。こうなるとハンドリングが悪くなってしまう。
ワイドボディ化するなら、サスペンションアームを延長してハブごとトレッド幅を広げないと、本来のメリットは得られないのだ。そのかわりにサスペンションアーム交換は申請が必要だったり手間も多いが、それだけ得られる大きなメリットがあるのだ。
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インセットの数値が小さくなるとボディとツライチ方向になる。そこでのセッティングは見た目に大切だが、走りの面ではワイドトレッド化によるメリットが大きいわけではないことを認識していただきたい。