想定外のトラブルも次の開発に活かされる
決勝は日曜のお昼過ぎからの4時間レースです。4人のドライバーでほぼ均等割でレースに挑む予定です。スタートドライバーは、今回が初チャレンジとなる花沢雅史選手が挑みます。
第1戦「もてぎスーパー耐久」に参戦のスバル・ハイパフォX2の走行シーン画像はこちら
緊張感のあるスタートから数周、まだタイヤも温まりきっていないのか、1コーナーでスピンを喫してしまいますが、その後は落ち着いて走行を続け、2番手の伊藤和広選手にバトンを繋ぎます。
ふたりで1時間40分程度走行し山内英輝選手に繋ぎます。2時間を経過し順調に走行していると思いきや、いきなり黒煙を吹き始めバックストレートにマシンをストップさせます。ピットはそれまでの順調の走りの安堵感から一転して緊張感に包まれます。
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山内はオフィシャルのクルマに乗車して、マシンが回収されて来る場所に戻り、待ち受けるエンジニアやメカニックに状況を説明します。その話をまとめると、「徐々に左後輪に違和感を感じ初めてきたところで、負荷をかけないような走りをしていたけど、最後は黒煙が吹き出したのでコースサイドに止めた」とのことでした。
ハイパフォX2がレッカーに載せられて帰ってきた後は、許可されたエンジニアと事前に登録されたメカニックがマシンの状況を確認。その場で修理をするのか、一時的に動かせるような状況にしてピットに戻して修理するかを検討します。S耐ではマシンにトラブルがあっても、リペアエリアと呼ばれる修復場所で修復を行い、レースに復帰することが認められています。今回はどうにか自走ができたのでピットに戻して修復を行うことにしました。
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損傷箇所は左リヤのドライブシャフトのブーツが破れたことによるグリス切れからの破損と判明。ドライブシャフトを交換し、レースに復帰することになりました。
修復自体はドライブシャフトの交換だけだったのでさほど時間を要せずに済みましたが、ピットに戻すまでに時間がかかったため、ドライバーを最終走者の井口卓人にチェンジし、最後の走りを託します。
その後は何事もなく走り切り、チェッカーを無事に受けて完走を果たしました。
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レース終了後、伊藤監督兼チーフエンジニアは、「実際のレースを想定した4時間という長時間走行をいままで行ってきていませんでした。2時間を超えた時点で想定していないトラブルが発生してしまいました。マフラーの位置をハイパフォXからハイパフォX2にした際に変更していますので、それがドライブシャフトが壊れた原因かもしれないです。ただ、レースが終わったばかりの現状ではなんとも言えません。もち帰って分析します」
「いままでのハイパフォXよりもボディ剛性などがアップしている分、高いGがコーナーで発生しています。それらに対応した走らせ方やパーツの剛性なども検討していかなくてはならない、ということが今回のレースでわかりました。それでもマシン自体の完成度は高いと思います」と、新車の剛性が高いがゆえに、他の部分に影響が出ている可能性があることを語ってくれました。
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プロドライバーの井口・山内両選手も「ハイパフォXに比べると圧倒的にボディ剛性があります。その分だけ走りやすくもあり乗っていて楽しいマシンです。そのため、いままで以上にタイムを出しやすくなっています。剛性が高くなりしっかりとパワーを伝えられると、もっとパワーが欲しくなりますが、その辺りは今後の課題になっていくと思います。足まわりのバランスなどもいろいろなセットを考えていく必要があると思います」と、ハイパフォXでは感じられなかったほどのボディ剛性の高さが、いろいろな効果をもたらしてくれることを実感しているようです。
伊藤・花沢の両社員ドライバーは、「いままでにない高い剛性のボディなので、その力を使いこなすドライビングスキルが求められます。ただレーシングカーを製作しているわけではなく、どんな人が乗っても速くて安全に走れるクルマを作るためにやっている活動ですので、プロが速く走れるだけでなく、ジェントルマンドライバーや、その先の一般の方が速く走れるような開発をしていきたいと思います。そのためには、自分たちの力量の枠を超えたところにあるこのマシンを、しっかり乗れるようにしていきたいです」
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新車の良さを量産車に落とし込むためにはどうしていくのがベストかを考えていくのが、今後のスバルのスポーツカーに役立っていくはずです。
まだ走り始めたばかりのハイパフォX2。今回は想定外のトラブルが発生しましたが、車両開発にトラブルはつきものです。これを次回以降に発生させないことはもちろん、どうしてこのようなことが起きたのかの解明が、次の開発のために重要になっていきます。伸び代しか感じられないよいレースになったと思います。
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スーパー耐久第2戦は、鈴鹿サーキットで4月18日(土)予選、19日(日)決勝のスケジュールで開催されます。