EVとしての完成度とボルボらしい安心感を両立
ボルボは、PHEV含めてモーター制御をあくまでも自然に巧みに操れるよう、アクセルペダルにソフトに連動する感じがいい。ほんの軽く踏んだだけでゼロスタートから飛び出すBEVは意外に多い。BEVのスゴさをそこで感じさせる稚拙な策だが、ボルボはアクセルを踏み込んだ初期の加速を過敏にせず、ジワっとスタートする。
でも、やや早めに踏み込むと、当然だが加速のノリは鋭い。大人3名乗車から驚きの声が漏れるほどの加速Gが身体全体を襲う。ドライ路面なら0-100km/h加速は3.7秒と、BEVの威力であるその瞬発力で並のスポーツカーを置き去りにする。
素晴らしいのは、「アクセルを踏み過ぎた!!」と思ってペダルを戻した瞬間の減速感とペダルが戻る反力を足裏に感じられる、クルマと感覚が自然にリンクする点だ。戻しこそ緻密な制御が重要で、とくにワンペダル走行の場合、ドライバーの意思とペダルによる加・減速が忠実に行える点を高く評価したい。雪上でスリップを感じたときもその感触が生きる。もちろん実際はクルマ側の安定制御がドライバーの操作よりも先に対応するが、その早さもモーター制御だからこその瞬時の技だ。
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走りで唯一気になるのは、ステアリングを切って戻す際の手応えにザラザラした不自然さを感じる点。従来のボルボにはない感触だが、これこそが主要コンポーネントを他車と共有するネガかと思う。メーカー流儀ではもっと緻密に攻めたいが、主要な他車が「コレでOKといえば、そこで完成」というような、そんなことは実際に他社でも聞く話だ。
EX30の初期から感じられ、量産効果で直るかと思っていたが、EX30クロスカントリーになっても残る。ボルボとしての理念とともに乗り越えてもらいたいものだ。
ところで、後席の床からシートまでの高さが足りず膝が安定しないが、高身長のスウェーデンのひとたちは大丈夫なのだろうか?
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EVメーカーになると宣言したボルボだが、EVをめぐる世界情勢の変化に応じてトーンダウンしつつも、その目標は捨ててはいない。BEVのモーター制御による可能性の高さを今回もひしひしと感じながら、ドライの舗装路から圧雪、氷上と変化する路面でEX30ツインモーターの安定走行と操縦しやすいパフォーマンスを存分に味わえた。
重箱の隅を突くと、回生ブレーキの調整方法の簡略化(パドル等がない)、ドアミラーまでもモニターで呼び出し操作する点など、なにもかもをモニターに集約する点に不便さを感じる。物理スイッチの部分は残していいと改めて思う。
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