キープコンセプトに隠された合理性
スーパーハイト系軽自動車はモデルチェンジの際、イメージを大きく変えにくい……という点についてはすでに説明したが、三菱ならではのスーパーハイト系軽自動車である、TVCMにも登場する公式キャラクターの「デリ丸。」の愛らしい姿もあって人気を博するデリカミニの2代目も、「新型になってもあんまり変わってないじゃん!!」というイメージがもたれる1台だろう。
ちなみに、2025年10月に発売された2代目デリカミニについて、「2023年5月に初代がデビューしてから2年目でもう新型なのか……」という声も聞こえてきそうだが、それは誤解だ。初代デリカミニは、2020年に発売された三菱eKスペースが2023年に行った改良時に加わった派生車だったからだ。2代目デリカミニは、ベース車のeKスペースの存在を考えれば、2020年から5年目のタイミングで登場した新型ということになる。
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デリカミニ人気の一端は「デリ丸。」君で、そのイメージを新型に引き継がないわけにはいかない。なので、変えようがないパッケージングとともに、エクステリアデザインの顔の「デリ丸。」感も継承したことで、「あんまり変わってないじゃん……」という印象になるのかも知れない。
とはいえ、デザイナーはいい仕事をしていて、ヘッドライトとターンランプを大型化。よりキリリとした「デリ丸。」の丸目がさらに強調され、睫毛もついた!?「やんちゃかわいい」さらに親しみあるフロントフェイスへ進化した。
さらに、ワイド化した前後スキッドプレートとプレスラインが強調されたボディサイドパネルによって、タフなイメージを強調。リヤコンビランプやアルミホイールなど、随所にちりばめられたブロックモチーフがいっそうギア感を演出したエクステリアデザインになっている。
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なお、N-BOXの2~3代目がそうであるように、デリカミニの初代~2代目についても、室内空間、パッケージングについてはほぼ不変。スーパーハイトワゴンクラスのトップレベルの広さと機能性、高品質感を備えた空間を維持している。
それでも進化ポイントは数多い。角度を立てたフロントウインドウによって前席まわりの広々感はさらに高まり、12.3インチの大型ディスプレイに軽自動車初のGoogle搭載ナビゲーションを採用したことも大きな特徴。ナビの使い勝手は初代ユーザーが悔しがること必至の進化である。加えて、コネクテッドサービスとしてのGoogleの通信料は10年(!!)無料なのだから、やっぱり新型の魅力度は大きく進化しているのである。
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さらに、軽自動車トップレベルどころかコンパクトカー並みの車内の静かさや、ロングドライブでも疲れない抜群の乗り心地を実現しているとともに、スーパーハイト系軽自動車最高の最低地上高160mmを確保。デリカ一族らしい専用チューニングのフルタイム4WDの採用とともに、新型ではカヤバ製ショックアブソーバー・Prosmoothを初採用し、アウトランダーと同じ5モードのドライブモードも新採用した。このような進化で悪路での走破性も一段と高まったのだから、もはや軽自動車最強の1台ということになる。
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モデルチェンジをしてもエクステリアデザインがほとんど変わらない、初代のイメージを引き継いだ2代目を擁するモデルをもう1台挙げるとすれば、これまたホンダの軽自動車、N-ONEだ。2012年11月に登場した初代N-ONEは、ホンダ初の軽自動車のN360をモチーフにしたホンダNシリーズ第3弾となる市販車であり、根強い人気を保つ1台だ。すでに電気自動車版のN-ONE e:が登場していることもあり、ホンダにとってはなくてはならないモデルなのである。
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そして、2020年に発売された2代目N-ONEは、エクステリアデザインについては「いったいどこが変わったのか」と思えるフルモデルチェンジを行った。その理由は明白。すでに説明したように、もとのコンセプトがN360へのオマージュであり、そのテーマを変えることができないからである。
2代目発売当時に開発陣から聞いた話によれば、初代オーナーから「新型になってもデザインは変えないでほしい」という声が強かったことも、2代目のエクステリアデザインの印象がほとんど変わらない一因となっている。
2代目ホンダN-BOXのフロントスタイリング画像はこちら
2代目では初代のスポーツグレード「LOW DOWN」と同じ全高1540mmとなり、Nシリーズのなかのスポーツモデルという位置づけを一段と明確にした。現在も6速MTのRSグレードが存在するのも、ホンダのN-ONEに対するこだわりとスポーツ心の現れといっていいだろう。「変わらないところに価値がある」。それがホンダ4輪の原点の1台といえるN360に想いをはせる、N-ONE開発者の思い入れというわけだ。だから3代目が登場したとしても、エクステリアデザインのイメージはきっと変わらないはずだ。
エクステリアデザインの変更を最小限としたフルモデルチェンジを行ったモデルに、初代が2016年にデビューし、現行の2代目が2022年に登場したダイハツ・ムーヴキャンバスがある。真打ちグレードはもちろん、ストライプスと呼ばれる2トーンカラーを纏ったモデルであり、それはかのワーゲンバスをイメージしていることは明白。だから、2代目となってもイメージは変えようもなく、「あんまり変わってないじゃん」と思わせるのである。