待遇がよくても規制強化でなり手が不足する欧州
一方の海外では、とくにヨーロッパのドライバーの待遇は悪いものではなく、IRUの調査によればドライバーの平均給与は生活コストの1.3〜2.35倍の水準にあるという。欧州7カ国のドライバー1100万人への調査では、じつに81%が「仕事に満足している」と回答している。
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にもかかわらず人手不足が発生している原因は「規制強化」にあるという。アメリカでは移民政策と安全規制がその原因。FMCSA(連邦自動車運輸安全局)が施行した「非居住CDL規制」により19万人以上の外国人運転手が免許を失い、また英語力要件の厳格化により1万人が運行停止になり、薬物・アルコール検査データベースによる資格停止もそれに拍車をかけている。
欧州では2020年から段階施行している「モビリティパッケージ」と呼ばれる規制が東西格差の構造問題を生み、イギリスでは2021年に行なわれたブレクジット(EU離脱)により、EU出身のドライバーが英国内の物流業界から大量に離脱。HGV(大型貨物車)危機が発生している。
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とはいえ、どの国・地域の規制も「悪法」というわけではなく、「安全」「労働者保護」「公正競争」という正当な目的をもっている。日本の規制はドライバーの健康を守るため、アメリカは交通安全のため、EUは東欧のドライバーの待遇改善のために規制を行っている。
また、日・米・欧ともにその人手不足の解消のために動いているのが、「外国人ドライバー」の受け入れについて。日本では外国人の特定技能の対象分野に「自動車運送業」を追加し、2025年3月から本格運用している。
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しかし、この外国人ドライバーの受け入れもいずれ各国間による「ドライバーの取り合い」といった問題が発生するともいわれている。労働環境の整備や待遇改善はその国の国民も外国人も等しく改善すべき課題で、どの国の物流業界も人材確保のためにその課題に取り組んでいる。
外国人ドライバーや国内の若手ドライバーに「ここで働きたい」と思わせる環境づくりが、物流業界の世界的な課題になっているといえる。