速くなったが故に問題点も浮き彫りに
19日日曜の決勝は出走台数が多いこともあり、2グループに分けてのスタートです。ハイパフォX2はグループ2の先頭集団からのスタートとなります。ライバルのST-2クラスのマシンとガチンコレースが始まります。
スタートは山内選手が担当し、ST-2クラスのシビックタイプRを置き去りにするくらいのタイムを叩き出し、上位クラスに追いつく勢いを感じさせます。
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1時間ちょっと経過して2番手の花沢選手に交代します。花沢選手は無理せず安定したタイムで走行をしていましたが、2コーナーの立ち上がり部分でコースオフした際に何かに当たったかもしれないと言います。その後マシンから薄く白煙が見えはじめ、ピットに戻ってきた時にはエンジンルームから白煙がもくもくと立ち上がりました。プロのメカニックが何が原因で白煙が立ち上っているのか、懸命に損傷具合を確認しながら追求していきます。
その結果、ミッションクーラー配管のフィッティング部分が緩んでおり、そこからオイルが漏れているということがわかりました。部品交換にはならず修復してコースに戻りましたが、1時間の修復時間がかかり、順位としては大きく後退することになりました。ドライブしていた花沢選手はがっくりと肩を落としていました。修復してコース復帰したあとには、懸命に修復してくれたメカニックひとりひとりに感謝を伝えていました。
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マシン修復を済ませ、コースに復帰する際に3番手ドライバーの伊藤選手に交代。その後は順調にレースを進めていきます。
最後のドライバーチェンジを行う際に、伊藤 奨監督はミスをした花沢選手に「もう1度乗るか?」と聞きます。花沢選手は即答こそできませんでしたが、徐々に気持ちを切り替え、自ら志願して最終走者に挑みます。その後は落ち着いた走行を見せて5時間レースのチェッカーを受けました。
レースを終えて山内選手は「リヤのブレースがとてもよい効果を生み出していました。ここが弱いねと感じる部分を強化していくしかないかなと思います。木曜からの4日間でドライバーのミスが多くありました。そのミスのなかで責任感をどう感じるのかも課題ですし、エンジニアの皆さんもドライバーが必死に走っている部分を、感じ取ってもらえればと思います。一緒に切磋琢磨してサポートしながら上を目指していければいいなと思います」と、ミスをなくしていく必要があることと、それをサポートしていくことでチーム力アップに繋がっていくと言います。
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伊藤 奨チーフエンジニア兼監督は、「いろいろとあった4日間でしたが、装着した新たなパーツや制御はよい方向に進んでいるのが確認できました。今週は走行中に縁石やコースオフなどで下まわりを打つことが多かったので、その影響でフィッティング部分からオイルが漏れてしまうという、想定外のトラブルが発生しました。マシンの挙動によってはこういうトラブルが発生してしまうという、よい経験にもなりました」
「最終走者の花沢選手に関しては、自分も走行をする身として、何かやらかしたあとそのまま帰ってしまうと悪いイメージだけが残ってしまうので、そこを払拭して欲しいという気持ちと、次が24時間レースですので、悪いイメージを持たないようにして欲しいという気持ちもあって乗ってもらうことにしました」と、監督自身もドライバーとして参加しているからこそ、ドライバーの気持ちにたってのケアをしていることがわかりました。
その花沢選手は「木曜・土曜で運転ミスをしてしまいました。そして決勝中もミスで皆さんに多くの迷惑をかけてしまいました。経験不足が露呈してしまいました。いままでのハイパフォX1では、それほどのライバルがいなくて、自分のタイムを目指していれば良かったのですが、ハイパフォX2になってタイムがグンとあがり、ST-2クラスとガチンコレースになっています。その分、まわりで同タイムで走るマシンが増えたことで、他車との位置関係などをしっかり見ないといけない状況になっています。それだけマシンが速くなっているという証拠だと思います。次は24時間なのでミスをしないように気をつけます」と言う通り、ドライバーに求められるスキルが高くなっています。
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「制御や投入したパーツのよさは山内選手が証明しているように効果は出ています。しかし、ジェントルマンドライバーの自分や花沢では、その効果を最大限活かせるまでのドライビングスキルに達していません。このギャップを埋めるためにはどうすればいいのかが課題となってきました」と伊藤選手が言うように、ジェントルマンドライバーとプロドライバーの差が大きくなっています。今後はどこに合わせてマシンを開発していくのかが大きな課題になりそうです。
本井代表は「プロメカさんのおかげで無事に完走することができました。ほかのメンバーも言っていると思いますが、台数が多いレースになればなるほど、コースのランオフエリアを走ることもあるかもしれません。そう言うときでもトラブルが起きない、起きた際にもいかに次に繋げて行くのか。そういう進化も必要になってくると思います」と語ります。
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2戦連続で多くのトラブルが発生していますが、致命傷になるようなトラブルではないのが救いの部分でしょう。スーパー耐久シリーズ次戦は、6月4日(土)〜5日(日)にシリーズ最長かつ最大イベントとなる、24時間レースが富士スピードウェイにて開催されます。どのような戦いになるのか注目です。