この記事をまとめると
■日本観光ブームが続くタイでは消費トレンドに変化が見られる
■和食ブームに加えてかわいい文化も定着しつつある
■タイだけでなく東南アジアではいま女性ユーザー獲得の動きがトレンドだ
東南アジアに定着しつつある日本のかわいい文化
日本が海外からの観光客の呼び込みに積極的になってから久しい。台湾やタイといった親日国では、複数回日本を訪れるヘビーリピーターも珍しくなくなっている。日本観光ブームが続くなか、タイの首都バンコクでもその影響のようなものを感じることができる。
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まずは海外最大の日系コミュニティを形成するバンコクでは、もともと和食料理店というものが数多く存在し、日本人ではなく地元タイのひとも頻繁に訪れていたのだが、日本を訪れ、たとえば東京でかつての築地、そしていまの豊洲市場で仕入れた新鮮な魚介類を使った海鮮料理を食べた経験のあるタイのひとも増えた。わかりやすくいえば、和食へ舌の肥えたタイのひとのチェックも厳しくなっており、豊洲でその日の朝仕入れた魚介類を航空便でタイへ運んでその日の晩には店に並べる店も目立ってきた。そこまでしないとなかなか生き残れないとの話も聞いた。
筆者も最近バンコクを訪れた際、現地の高級和食店で食事をする機会があったのだが、日本で食べるものと遜色がないというか、それ以上であったので聞いてみたら豊洲産ということであった。
とくにここのところ変化を感じるのは、かわいい文化の定着である。そもそも東南アジアでは、たとえばクルマでは、女性であってもエッジの利いたアグレッシブなモデルが好まれる傾向にあったそうだが、2026年3月25日から4月5日の期間で開催された「第47回バンコク国際モーターショー」の会場をまわると、「かわいい」を意識した展示車が目立っていた。
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かわいい文化の定着は、日本を訪れるひとが増加した顕著な例ともいわれている。乙女心は万国共通ともいっていいのか、自国では限定的であった「かわいい」というグッズが、ありとあらゆるもので「かわいい」が氾濫している日本を訪れて覚醒してしまい、そのまま自国でも広がりを見せるようになったのではないかと筆者は見ている。
かつて、日本でも昭和の時代には各メーカーがこぞって女性仕様車を用意した。それは男性目線での女性らしさを具現化させたものなので、今回ショーで見たかわいいクルマとは少々ニュアンスが異なるものといえるだろう。
ホンダは二輪車(スクーター)で、とくに東南アジアで人気が高いようだが、サンリオキャラクターとシナモンロールとのコラボモデルを発表した。会場ではシナモンロールの着ぐるみが当該モデルのプロモーションに参加しており、会場を訪れた女子たちでおおいに盛り上がっていた。
第47回バンコク国際モーターショーで展示されていたホンダのスクーター画像はこちら
ホンダブースの対面あたりにスズキブースがあるのだが、やはり犬のキャラクターをあしらったスクーターが展示されていた。
四輪車では中国系ブランドがかわいい系モデルを積極的に展示していた。そもそもマイクロBEV(バッテリー電気自動車)であり、とぼけたエクステリアを採用する長安汽車のLUMINではクルマのかわいらしいさを強調するディスプレイで展示されていた。GAC(広州汽車)系BEVブランドのAIONでは、主力コンパクトBEVのUTをベースにスポイラーなどでスポーティにしながら、かわいくデコレーションしたモデルが展示されていた。
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新車販売が成熟期に入ろうとしたときに女性ユーザーに注目するのは、前述したとおり日本もかつて辿ってきた道ともいえる
調べてみると(2025年12月31日現在統計)、一般的な個人用車というカテゴリーの運転免許所持者では、男性が82万9324人に対して女性は65万6917人となっており、この女性運転免許所持者へのアピールとして、かわいい仕様が有効なツールになってきていると社会情勢を見て判断するブランドが出てきているようである。
また、そもそも一定所得以上では、クルマの複数保有はそれほど珍しくないとの話も聞いているので、セカンドカーやサードカーとしての需要を狙う新たなツールとして、今後はかわいい系モデルが各ブランドで増えてくるのかもしれない。