結局走るタイミングはやってこなかった
エンジンも横置きミッドシップだったレイアウトを縦置き4WDへ魔改造。セリカなどに搭載され続けた名機、3S-GEをベースにボアアップ、さらにはターボ化をしてなんと500馬力オーバーの出力を与えていたという。このショートホイールベース(一応ノーマル比で+150mm延長加工済み)のボディに500馬力オーバーのターボエンジンをリヤに搭載……考えただけでも恐ろしいパフォーマンスを秘めていることは明白。
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ちなみにノーマルのMR2は、NAモデルで130馬力、スーパーチャージャー搭載モデルで145馬力程度だった。それでも手なずけるのが大変だったクルマだといわれている。4WD化されているとはいえ、間違いなく化け物である。前後の重量バランスは47:53とした。
サスペンションは前後ダブルウイッシュボーンとして、路面追従性を確保。ダンパーも減衰力を高めるために2本搭載されていたりした。リトラクタブルヘッドライトは固定式とされ、前後には大型のブリスターフェンダーを装備し、トレッドも拡大されている。ただ、これだけコンパクトなボディにあれこれ詰め込んでいるので、リヤセクションのカウル内は補器類などで大変なことになっている。当時のライバルはプジョー205 T16だったそうだ。
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そんな「222D」は、グループBやグループSのルールに適合させるよう、グループB参戦を目論んで開発した初期モデルのフェイズIが7台、グループS向けのエンジンが縦置きとされたフェイズIIを8台、計15台の222Dが製作されたといわれている。なお、WRC参戦時にはMR2の名を掲げる予定もあったという。
しかし! 前述のグループBによる重大事故などを受けて、FIAは「パワーを絞ったとはいえ、グループSも危ないな」と急遽方針転換。1987年からのグループSは白紙となり、市販車ベースのグループA規格を運用すると発表した。
よって、この「222D」はグループBに出ようとしたら廃止になりグループSに。しかしそれも廃止と運命に振りまわされ続け、結局悪路を疾走することなくお蔵入りに……。幻のラリーカーとなってしまったのだ。
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なお、この「222D」、グループS規定をクリアできる15台が作られたそうだが、現存しているのは3台で、白いボディのフェイズIIの4号車(222D-11)をトヨタ博物館が所有。かつては東京のお台場にあったメガウェブで展示されていたので、見たことがある人も多いだろう。
ほか2台は海外にあり、うち1台はドイツのケルンにあるトヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパの本社に黒いフェイズIIの1号車(222D-08)が保管されているほか、エンジンが横置きにマウントされた初期モデルのフェイズIも現存しているとのこと。
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幻の「222D」、もし走る機会なんてのがあったら、日本人なら絶対に目に焼き付けたい1台である。