日本人にとっちゃ「迷惑ルール」でしかないアメリカの「25年ルール」! 日本の中古車高騰を招いた謎ルールができた理由とは? (2/2ページ)

アメリカの法律が日本の中古車市場に与えた影響が大きすぎた

 通称「25年ルール」の制度自体は1980年代末に確立されていたが、なぜいまになって、これほどまでに騒がれているのか? それは、日本のスポーツカー黄金期である1990年代のモデルが、続々と「25年」の縛りから解き放たれつつあるからだ。

 1989年登場のR32型日産スカイラインGT-Rをはじめとする1990年代の日本製スポーツカーは、世界的に見てもきわめて高い技術力と耐久性を誇っていた。そしてアメリカの若者の一部は、映画『ワイルド・スピード』シリーズや、ゲーム『グランツーリスモ』などの影響から、それらジャパニーズスポーツカーに憧れを抱きながら成長した。

 そんな彼らがちょうど経済力を身につけたタイミングで、憧れのJDMたちが25年ルールによって「合法化」された。となれば需要が爆発し、供給(日本国内の中古車在庫)が減り、そして日本における中古車価格が高騰するというのは、ある意味当然の帰結だった。

 アメリカの「25年ルール」は、日本の自動車文化にとって功罪両面を併せもっているように思える。「光」の側面としては、ジャパニーズスポーツカーが世界で正当に評価され、クラシックカーとしての地位を確立したことが挙げられる。かつてはスクラップにされていたような中古車が海を渡り、アメリカ人のオーナーによって大切にレストアされながら余生を過ごすというのは、なかなか素敵なことではある。

 その一方で、「影」の側面はそれなりに深刻だ。国内の優良な個体が海外へ流出し、中古車価格が異常なまでに高騰したことで、日本国内の若者が自国の絶版名車に触れる機会が奪われてしまったのだ。また、盗難被害の急増も無視できない問題かもしれない。アメリカ国内にて高値で売却することを目論んだ窃盗グループにとって、25年ルール対象車は「換金性がきわめて高い獲物」に見えているはずだ。

 現在は1990年代後半から2000年代初頭の車両、すなわちR34日産スカイラインGT-RやS15日産シルビアなどが次々と解禁を迎え、アメリカにおけるJDMの市場はさらに過熱しているようだ。しかし、アメリカ国内でも変化の兆しはある。環境意識の高まりや、将来的なガソリン車の規制議論が進むなかで、クラシックな車両の取り扱いがいつまでも現在のまま維持される保証はない。また、あまりの過熱ぶりに、輸入手続きの厳格化を求める声もゼロではないようだ。

「25年ルール」は、もともとはアメリカ国内の業界利益を守るための参入障壁として作られた法律だった。それが四半世紀以上を経て皮肉にも、地球の裏側にある日本のスポーツカー人気を爆発させる導火線となったことに、歴史の皮肉を感じずにはいられない。

 とはいえ歴史の皮肉に対して苦笑いしてばかりもいられない。今後は「往年のジャパニーズスポーツカー」という貴重な文化遺産をいかに守り、いかに次世代へつないでいけるかを、真剣に考えてみる必要はあるだろう。


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伊達軍曹 DATE GUNSO

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