エミッション対応の波に飲まれフェードアウト
さて、時代を経ることでツインターボという言葉を耳にしなくなってきたが、これはメーカーがツインターボを謳わなくなったのではなく、ツインターボそのものが姿を消したためだった。では、なぜ存在自体がなくなってしまったのか?
答えは「平成12年排出ガス規制」にあった。それまでは、排出ガス規制は長らく「昭和53年排出ガス規制」が適用されてきたが、平成12年排出ガス規制は、そこから一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素の排出量を約70%削減する厳しい規制値で、排気量の大きなターボエンジンにとっては不利な数値だった。もちろん、技術的に実現困難というわけでもなかったが、エンジンを新規に作り直したり、当時低迷していたスポーティカー市場に対し、そこまでコストを投入する必要はないとの判断により、ターボエンジンにかわり排気ガス対策のやりやすい大排気量自然吸気エンジンを採用する例が相次いだ。
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余談だが、こうした時代にあえてターボエンジンを採用して登場した性能志向の新型車は、R35型GT-R(2007年)とRZ34型フェアレディZ(2022年)ぐらいだった。
そして、現在のターボシステムになるわけで、実用性と効率を両立させたダウンサイジングターボがその実態となる。しかし、技術の進歩はめざましく、市販車仕様ながら1.6リッターの3気筒ターボ仕様で304馬力(GRカローラ/ヤリス)を発揮している例がある。
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高性能を彷彿とさせるツインターボは、現在もフェラーリやランボルギーニで健在だが、トップパフォーマンスはHV方式が担っている。ターボによるトップパフォーマンスは、8リッターW16気筒4ターボエンジンを搭載するブガッティ・シロンの1500馬力ということになるのだろうか。排気量と気筒数、気筒配列に対して最適なタービンの容量と個数。ツインターボはこうした条件から生まれた過給システムだった。