【試乗】トヨタが本腰を入れるとBEVもココまで仕上がる! bZ4Xツーリングはようやく「BEVを普通に選びたくなる」完成度だった (2/2ページ)

長距離移動を快適に楽しみアウトドアにも対応できるBEV

 さらに、今回から採用されたバッテリープリコンディショニング機能が効いている。急速充電スポットを車載ナビで目的地設定すると、その手前からバッテリー温度を最適化し始める。冬場は温め夏場は冷却することで、充電性能を効率的に安定化させる仕組みだ。高速道路を長時間走行した直後はバッテリー温度が上がり、急速充電能力が落ちるケースが従来のBEVでは少なくなかった。しかし、bZ4Xツーリングはその問題を大きく改善してきた。実際、最大150kW級急速充電によって約28分で80%近くまで回復できる。

 走りもより成熟させられている。電動モーターはゼロ回転から最大トルクを引き出せる。そのため過剰と思えるほどの加速性能を誇示したがるモデルが多い。しかし、bZ4Xツーリングは違う。アクセル開度に対する駆動力の出し方が極めて丁寧だ。前後駆動力配分も緻密で、ワインディングではステアリングと制御がマッチしていて、ラインを正確にトレースする。過剰な加速Gを無理やり感じさせないデリカシーが備わっていた。

 つまり、速さを誇示するのではなく、乗員を快適に長距離移動させる方向へ制御思想が変わってきているといえるのだ。

 20インチタイヤを履きながら乗り味は驚くほどしなやかだ。重量級BEVらしい重厚感はあるが、段差通過時の当たり具合で角を丸める能力が高い。フロア下に大容量バッテリーを搭載することで得られる高剛性ボディが、静粛性や乗り心地にも効いている。

 一方で、BEV共通の課題も残る。後席フロア位置が高く、後席着座姿勢はヒップポイントに対して膝位置が上がりやすく、いわゆる体育座り的で腰や臀部に負担を感じた。このあたりは次世代BEVプラットフォームで改善されていくべき課題だろう。

 しかし総合的に見れば、bZ4XツーリングはBEVの実用性を大きく引き上げた存在となったことは確かだ。単なる環境対応車ではない。長距離移動を快適に楽しみ、アウトドアなどのアクティビティにも対応でき、しかも高い静粛性と動力性能をもつ。AWDなら全天候性も担保される。

 ようやくBEVを普通に選びたくなるクルマになった、と思える仕上がりだった。


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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