この記事をまとめると
■「BRT」という渋滞などが発生しない専用道を走る長い連節バスが存在する
■路線バスを「鉄道レベル」の速達性と輸送力に引き上げた交通システムだ
■1度に輸送できる人員が少なかったり道路交通法の制限があるなど普及には時間が必要だ
年々各地でBRTへ注目が集まる
近年、地方のローカル線廃止ニュースや都市部の再開発計画のなかで、「BRT」という言葉を耳にする機会が増えた。自動車ファンや交通システムに関心の高い人なら、専用道を走る長い連節バスを想起するかもしれない。しかし、BRTは単に「長いバス」ではない。鉄道の定時性とバスの柔軟性を併せもつ、次世代輸送システムなのだ。
BRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)とは、専用走行空間・優先信号・高度な運行管理システムなどを組み合わせ、従来の路線バスを「鉄道レベル」の速達性と輸送力に引き上げた交通システムのことを指している。1974年にブラジルで既存の道路にバス専用レーンを設け、地下鉄のような駅舎を設置したのが始まりだとされる。わが国では、2011年の東日本大震災で被災したJR気仙沼線・大船渡線の復旧手段として採用されたのが最初だ。
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その最大の特徴は、バスの「専用道」にある。渋滞に巻き込まれない専用の走行空間を確保することで、鉄道に近い正確な運行が可能となるのだ。最大のメリットとして挙げられるのは、鉄道・地下鉄・LRT(Light rail transit)などに比べて、建設費が圧倒的に安いことだ。これは、既存の廃線跡や道路を活用することが可能だからだ。
さらに、車両がバスであるため、専用道を出て一般道へ直通することができる。駅前だけでなく、住宅街や病院の玄関口などといったところまで乗り入れることができ、乗り換えることなく乗客を目的地へ運ぶことが可能なのだ。また、混雑時は連節バスを投入したり閑散期は小型車両に切り替えたりするなど、需要に応じた柔軟な運用ができる。
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一方で、鉄道に比べると一度に運べる人数が少ないといった問題を抱える。都市部で大きな需要が発生した場合、バスの台数が増えすぎて団子状態になり、輸送効率が落ちるという懸念がある。当然のことだが、バスの台数が増加すればそれだけ運転手が必要になってくるのだ。また、地元にとって「鉄道がなくなる」という喪失感は非常に大きい。加えて、わが国では専用道であっても道路交通法が適用され、そこを走る車両は道路運送車両法に合致させる必要があるため、自動運転の実装や特殊車両の運行には規制の壁が厚い状態なのである。
BRTは現在進行中の技術革新と、密接にリンクしているといっても過言ではない。とくに注目すべきは、「自動運転」と「隊列走行」だ。現在、JR西日本などが中心となって磁気マーカーやカメラを用いた自動運転BRTの実証実験を行っている。また、複数のバスを電子的に連結して走らせる「仮想連結」が実現すれば、鉄道に匹敵する大量輸送をより低コストで実現することも夢ではない。一方でカーボンニュートラルの観点からは、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)の導入も進められているのだ。
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BRTはもはや鉄道の代替手段などといった、消極的な選択肢ではなくなりつつある。むしろ、モビリティ・マネジメントにおける「最適解」のひとつに進化してきたといってもよいぐらいだ。地方では生活の足を守る救世主として、都市部では過密を解消するバイパスとして、その役割は今後さらに重要度を増していく。道路空間を効率化し、交通渋滞を緩和するBRTの普及は、快適なドライブ環境を維持するためにも、歓迎すべき存在だといえるのではないだろうか。