この記事をまとめると
■農機の緑ナンバーは市町村交付の課税標識である
■営業用トラックの緑ナンバーとは制度上まったく異なる存在
■公道走行には保安基準適合や免許区分の確認が必要となる
通常のナンバーとはまったく目的が違う
トラクターやコンバイン、乗用田植機などに、小さな緑色のナンバープレートが付いているのをご存じだろうか。装着位置や形は一般的な乗用車やトラックのナンバーと似ているが、なんのためなのか疑問に思う人もいるだろう。
この緑ナンバーの正体は市町村が交付する「小型特殊自動車」の標識なのだ。農耕用トラクターなどが軽自動車税種別割の対象であることを示すもので、通常のトラックに付くナンバープレートとは制度上の意味が異なる。
通常のトラックのナンバーは、道路運送車両法に基づく登録や検査と紐づけられ、自家用なら白地、事業用なら緑地のナンバーとなり、車検証、保安基準、自賠責保険などと一体で管理される。しかし、農耕用の小型特殊自動車に付く緑色の標識は、基本的には市町村への申告によって交付される課税標識である。つまり、同じ緑ナンバーであっても、営業用トラックの緑ナンバーとはまったく別物というわけだ。
フォークリフトの緑ナンバー画像はこちら
小型特殊自動車には、農耕作業用のほかにフォークリフトなどがある。農耕作業用とはトラクターやコンバイン、田植機などのことで、乗用装置を備え、農作業を行う構造をもつものが対象となっている。そして農耕作業用では最高速度が時速35km未満であることがひとつの基準となる。
一方で農耕作業用以外の小型特殊自動車では、長さ、幅、高さ、最高速度などに細かな条件がある。これらの条件を超えると、大型特殊自動車として扱われる場合がある。注意したいのは、ナンバープレートが付いていることと、公道を自由に走れることは同じではないという点である。小型特殊自動車の標識は課税のための標識であり、それだけで公道走行が認められるわけではない。公道を走るためには、車両が道路運送車両の保安基準に適合している必要がある。灯火類などが道路上で他車から確認できる状態で備わっていなければならない。
公道を走るトラクター画像はこちら
農業機械の公道走行で大きな変化があったのは、作業機を装着したトラクターの扱いである。かつてはロータリーやハロー(トラクターの後部に取り付けるアタッチメント)、播種機などを取り付けた状態での公道走行について、灯火器の視認性や車幅の問題があり、整理が難しい部分があった。しかし現在は、一定の条件を満たせば、作業機を装着した農耕トラクターも公道を走行できるよう運用が見直されている。
たとえば、後部に作業機を装着したことで、トラクター本体のランプやウインカー、反射器が後続車から見えなくなる場合は、作業機側に灯火器類を追加する必要がある。また、作業機を含めた車幅が広くなる場合には、外側表示板や反射器などが必要になることもある。けん引式の農作業機についても、灯火器や反射器の装着など、安全確認の条件が整理されている。
運転免許についても、通常のトラックとは考え方が変わってくる。小型特殊自動車は普通免許などで運転できる場合があるが、車両の大きさや最高速度によっては大型特殊免許が必要になる。近年の農業機械は大型化・高性能化しており、見た目は農機であっても、小型特殊の範囲を超えるものもある。
小さな緑ナンバーは、農作業用の車両だから特別になんでも走れるという印ではなく、通常のトラックのナンバーが登録・検査制度と結びついた道路車両としての番号であるのに対し、小型特殊自動車の標識は、市町村税制上の標識という性格が強いというのが正体というわけだ。