監視社会もここまできたか! トラックドライバーを常時監視する「インカメラ」採用が拡大中

この記事をまとめると

■トラック業界でドライバー監視のためインカメ導入が拡大

■安全管理とプライバシーの板挟みが問題に

■事故検証や潔白証明に活用されていることは事実だ

運用方法次第では不信感

 物流を担うトラックによる重大事故があとを絶たない現代の日本。そのため、事業用のトラックには運行状況を記録するデジタコ(デジタルタコグラフ)や、ドラレコの装着が義務付けされている。それらの装備は、ドライバーにとっては窮屈に感じてしまうもの。とくに車内の様子を映すインカメ(インカメラ)が、ドライバーを悩ませているようだ。

「普通の会社にもカメラは社内や構内にいくつも設置されていますが、トラックのインカメは個人を対象としたもの。サラリーマンでいえば、それぞれのデスクにカメラが設置されているようなものですからね。仕草や発言のすべてを記録されているドライバーからすれば、たまったものではないしょう。他社では、会社の愚痴や文句をいって罰せられたケースもあるようですから。それは会社内の規定違反だといわれたらそれまでですが、汗をかいて着替える姿や、仮眠する姿も記録されたりしますからね。女性ドライバーも増えているなかで、これはまずいだろと思うことも多々ありますよ」

 そう話してくれたのは、現役のトラックドライバーであるAさん。運転だけではなく、配車などのデスクワークも行う管理者でもある。だからこそ双方の気もちがわかるというわけだ。

「車内のインカメについては、もちろん違法性はないと考えています。プライバシーの侵害にならないのかといわれることもありますが、設置しているのはあくまでも社有車ですからね。就業中における従業員の様子を管理することも、業務の一環ですので。インカメの目的として挙げられるのは、ドライバーの安全性向上が大きいですね。運転の指導はもちろん、事故を起こした場合にも原因究明に役立ちますし。加害者になることもあれば、被害者になることもありますので。もちろん、プライベートなことを調べたり記録したりするという意図はありませんよ。その部分については、会社とドライバー間における信頼関係でしかありませんが」

 所有する社有車に、安全性向上のためにインカメを設置する。そんな会社側の意見はもっともであるが、それでもドライバーが常に監視されていると感じてしまうのも無理ない話。事実、ほかの運送会社では業務を逸脱したやりとりもあるという。

「今日はどの店でご飯を食べたんだね、美味しかった? とか、休憩中に誰々と電話していたんだねとか、業務と関係のないことを質問する言語道断な管理者もいるみたいですね。そんな不届き者がいるからこそ、ドライバーが嫌がる気もちも十分に理解できます。もちろんうちの会社ではそのようなことはありませんが、ドライバーにそれを信じてもらえるかどうかは別の話ですからね。少しでも理解を得るために、うちの会社では休憩中はカメラを作業服などで隠していいというルールを設けていますし、音声はオフにしてあります」

 チームを組んでの仕事が苦手な人は、数多く存在する。そのような人が選ぶ傾向が強いのが、トラックドライバーの世界。ひとりで仕事ができる環境を好み、監視されることを嫌う人たちにとっては、インカメは厄介で窮屈な存在でしかないだろう。しかし、インカメのおかげでドライバー自身が救われることも存在する。そのなかのひとつが、不用意な事故によるものだ。

「人間ですから、誰しもミスは犯します。たとえ事故を起こしてしまった場合でも、基本となる動作や安全確認をしていれば、社内の罰則はありません。そのような判定をする場合にもインカメを活用しています。ドラレコやデジタコは、なにもドライバーを苦しめるために装着しているわけではありませんからね。ドライバーの潔白を証明することも、インカメの目的ですので」

 カメラに記録されているというドライバー側の意識が, ルールの遵守や安全運転につながっているということは、いうまでもない。監視社会になって久しいが、なにごともマイナスに捉えるのではなく、プラスに考えながら業務に励んでほしいと願う。


この記事の画像ギャラリー

新着情報