法定速度30km/hの原付きはヘルメット着用が義務で20km/hの電動キックボードは努力義務! この「差」と危険度をマジメに考えてみた (2/2ページ)

特定小型原付の危険度はそこまで高くない

 しかも、特定小型原付は電気的なリミッターが働くため、平坦路では20km/h以上は出ない設計となっている。一方で、原付バイクはモノによっては50km/hくらいまでは出てしまう。生身で衝撃を受ける危険度からすると桁違いといえる。いずれにしても、物理の教科書的に計算すれば、原付バイクと特定小型原付が、同じような危険度ではないことは明確だ。

 自転車も、じつは特定小型原付よりも速度的には危険度は高い。たとえば、身近な電動アシスト自転車は24km/h以上ではアシストしないことが定められている。上記したように、24km/hで衝突したときの衝撃は2.3mから飛び降りたのに等しいわけだから、単独事故でいえば電動アシスト自転車のほうが特定小型原付より速度ポテンシャルに関するリスクは大きい。

 また、自転車でもスポーツタイプであれば50km/h程度で公道を走っているケースもある。こちらは、より危険度は高いといえる。

 もちろん、特定小型原付についても速度リミッターの働く20km/hの衝突では、階段8段ぶんを飛び降りるくらいの衝撃となる。骨折くらいはしてしまうかもしれないし、打ちどころが悪ければ命にはかかわるだろう。だから特定小型原付のノーヘルを推奨する気はないし、ヘルメットを着用すべきだとは思う。

 ところで、クルマを運転するドライバーは特定小型原付という名称や、20km/hという最高速度から原付バイクと同じくらいの速度で走るモビリティと認識してしまいがちだ。そうした認識が、冒頭で書いたような「電動キックボードはヘルメット着用義務にすべし」という主張につながるのだろう。しかし、特定小型原付は自転車よりも遅い、もっとスローなモビリティといえる。

 公道というのは、クルマのためだけにあるわけではない。そして、混合交通においては質量の小さい交通弱者(速度が遅い移動体)ほど保護されるべきというのが大基本だ。

 電動キックボードなど特定小型原付との混合交通に不慣れなドライバーからすれば、「余計なカテゴリーが生まれたせいで余計な気を遣うことになった」と感じるかもしれないが、それは驕りだ。交通強者こそ、あらゆる意味で余裕をもって公道を走る意識が、社会全体の安全につながるということを、あらためて肝に銘じてほしい。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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